目先は“膠着⇒次なる材料探し”が基本、ただ“リスク回避⇒円高”に振れる地合いではない…?

著者:武市佳史
投稿:2016/09/08 10:39

◆“急落後の調整”目立つも、“上値の重さ”変わらず…

※ご注意:予想期間は9月9日と表示されていますが、本日(9月8日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


前日のISM非製造業景況指数悪化をキッカケに急落したドル円でしたが、次第に調整色が強くなっていきました。
昨日指摘した“8/16(99.518円)後の上昇の61.8%押し(101.351円)”に到達したこともありますが、やはり東京タイム序盤の円買いが“仕掛け的”だったことが大きいと見られます。
もっとも売り遅れた向きのドル売りニーズは根強く、上値の重さは相変わらずでした。

◆ただ“リスク回避⇒円高”に振れる地合いではない…?

昨日の反発の基本は“売られ過ぎによる自律反発(いわゆるショートカバー)”と見られますので、継続性に関しては疑問符を付けざるを得ません。
上値の重さは“ある意味で当然”といえますが、一方で米9月利上げ観測の後退は“株式・商品等にとってはポジティブ”要因に当たります。
事実、昨日も米NASDAQは史上最高値を更新しており、“リスク選好”に振れるかは別にしても、少なくとも“リスク回避⇒円高”に振れる地合いとはいえません。

◆「膠着⇒次なる材料探し」が基本ではあるが…!?

そうした中で昨日も指摘しましたが、時間的なスパンを“年内”へと広げれば、「米利上げ=日銀追加緩和」はほぼ確実視されているのが現状です。
“9月利上げを囃した短期のドル買い”は巻き戻さざるを得ませんが、“年内を見た中期のドル買い”は巻き戻す要素が希薄です。
「緩やかに景気拡大は続いている」といった米地区連銀経済報告《ベージュブック》は材料視されませんでしたが、“年内利上げも無理”といった材料でも跳び出してこない限り、もう一段の“ドル売り・円買い”は抑制されると考えるのが自然です。

オーダー状況を見ると、“101.50円にドル買いオーダー”“102.00円付近にドル売りオーダー”が展開していますが、規模はそれほど大きくありません。
基本は「同レンジ内で膠着、次なる材料を探す」と見ますが、レンジから外れる(突き破る?)可能性は十分…。
短期目的のドル買いが投げさせられたことを考えると、その際は“下より上”…?

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:102.756(9/2~9/7の50%戻し)
上値4:102.623(50日移動平均線、ピボット2ndレジスタンス)
上値3:102.387(9/2~9/7の38.2%戻し)
上値2:102.118(9/7高値、ピボット1stレジスタンス)
上値1:101.917(日足・一目均衡表基準線)
前営業日終値:101.742
下値1:101.530(20日移動平均線、9/7安値後の50%押し)
下値2:101.447(9/7安値後の61.8%押し)
下値3:101.252(ピボット1stサポート)
下値4:101.195(9/7安値)
下値5:101.000(大台)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

10:50 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想