猛暑予想のこの夏、“強炭酸飲料”がブームに

著者:冨田康夫
投稿:2016/06/29 12:58

エナジードリンク的に利用する傾向

 糖分を含む商品が多かったこともあり、肥満防止など健康志向面から一時敬遠されがちの時期もあった炭酸飲料だが、無糖や人工甘味料を使用したゼロカロリー飲料の普及などにより、徐々に需要が回復基調にある。とくに、ここ数年は気分のリフレッシュや高揚効果を期待して、強炭酸飲料をエナジードリンク的に利用する傾向が強まっている。ラニーニャ現象で猛暑の到来が予想されるこの夏、強炭酸飲料がブームとなりそうだ。

 サントリー食品インターナショナル<2587>は、“強炭酸プラス強力カフェイン”の「ペプシストロング」シリーズから「ペプシストロング5.0GV」と「ペプシストロング5.0VG<ゼロ>」を、6月21日から全国で発売した。この新商品は、最高ガスボリューム5.0GVに耐えられるボトルを新たに採用することで“史上最強炭酸ペプシ”を実現したという。強力カフェインはそのままに、香料の配合を見直すことで、今までの「ペプシストロング」を上回る強い刺激と爽快感が楽しめるのが特長という。GV(ガスボリューム)は、飲料中の炭酸ガスの含有量を表す単位で、標準状態で、1リットルの液体に1リットルの炭酸ガスが溶けている場合を1GVとしている。

 アサヒグループホールディングス<2502>子会社のアサヒ飲料は、ロングセラーブランドの強炭酸ミネラルウォーター「ウィルキンソン タンサン」の新フレーバーとして「ウィルキンソン タンサン ドライコーラ」を7月19日から全国で新発売する。外見は無色透明だが、香りはコーラという意外性と強めの炭酸で新しい需要を掘り起こす。これに伴い7月から、炭酸水「ウィルキンソン」シリーズの増産を計画している。

 キリンホールディングス<2503>の子会社キリンビバレッジも、強炭酸であることを全面に打ち出した「キリンメッツ ブラック」を5月10日から自動販売機限定で投入した。同社は特定保健用食品の「メッツコーラ」で先行しており、コーラ市場に健康性のキーワードを持ち込んだだけに、自販機で対抗商品を出した格好。メッツのレモンとグレープフルーツは、もともと強炭酸が特長で売り上げは好調な推移をみせている。

 コカ・コーライーストジャパン<2580>、コカ・コーラウエスト<2579>などの日本コカ・コーラグループは、強炭酸の刺激とレモンライムフレーバーの味わいが特長の炭酸飲料「スプライト」に、ひとしぼりのレモンとライムの果汁を加えて刷新し、5月30日から全国でリニューアル発売している。また、サッポロホールディングス<2501>の「ポッカサッポロおいしい炭酸水」は純水を使用しているのが特長で、炭酸の強さが際立っているとの評価がある。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想