短期的に追撃の時期か

著者:堀篤
投稿:2016/05/09 09:37

短期的に追撃の時期か

予定通り16000円を割った日経平均株価は、15491円の前回安値に到達する気配を見せず、早めの反発を遂げた。

前回のコラムで指摘した下落材料に対して、金融市場は、うまく咀嚼したと言えるだろう。ドルは107円台へ戻し、原油価格も安定している。

米国の雇用統計は、議論はあるが、米国の利上げをしない理由になるほどの弱い数値ではない。6月のFOMCに向け、再び利上げ予想が出ても不思議ではない。その証拠が、107円台への戻しだ。
トランプ氏の発言を巡り、まだドル安の方向性を心配する向きもあるが、それは金融市場で有利にことを進めようとするスピーカーたちの誘導に過ぎないと言って良いだろう。今のところ、彼のドル安政策や財政緊縮政策を経済的に本気で議論しても、あまり意味は無い。

日本の景気動向は微妙で、今後の金融・不動産・輸出産業など大手企業の企業業績は、楽観を許さない。このことは、今年夏頃からの相場を中小型の選別相場になる、と私が予測する根拠であり、その見方は変えていない。

しかし、それまでの短い時間に、一旦、大型株にもチャンスが来るのではないだろうか。

その理由は3つだ。
一つは、連休前のマイナスに振れた投資家心理が戻っていること
もう一つは、日銀に、あと一つ、政策をうつだけの余裕がある、ということ。
最後に、中国消費の状況が底を打った、と、市場が理解していること。

これらの理由により、「セルインメイ」(5月に売れ)の格言にも関わらず、あと1か月間の間には、大型株、あるいは指数の上昇が期待できるのではないだろうか。ただし、この盛り上がりには継続性に問題がある。

その要因は、米国と日本企業の業績だ。

6月以降、実際に米国が利上げを行った場合、それ以降の継続的利上げの期待値が変わるだろうこと、また、トランプ氏に一定以上の支持があったことで、誰が実際に大統領となっても、内向きの政策を出す可能性は強く、グローバルな経済構造に変化がもたらされる可能性が出てくること。

この部分についての詳細は、また別の機会に譲るが、簡単に言えば、大型株・指数に安心して投資できる時間は、そう長くはない、ということだ。6月いっぱいまでもつかどうか、だろう。あるいは、ここのところのボラティリティの大きさを考えると、あるとき、あっという間に18500円程度まで上がり、あっという間に下がって、終了、という可能性もある。

しかし一方で、さらに注目されるのは、マザーズ指数だ。マザーズ指数は、5月6日には1180ポイントまで上昇し、4月25日の高値、1229.93ポイントを射程に入れている。6日の上げ幅が48ポイントだったことを考えると、この高値はあっという間に抜く可能性がある。

今年に入って再三言っているように、今年は中小型株の相場だ。今年通年を考えるのであれば、やはり中小型株で勝てる銘柄を、発掘することだろう。
堀篤
日本マネジコ、東京スコットマネジメント代表取締役
配信元: 達人の予想