私鉄各社、座席指定列車を相次ぎ投入

著者:冨田康夫
投稿:2016/03/31 19:47

サービス充実で収益性向上狙う

 首都圏の私鉄各社が相次いで、座席指定列車を投入している。背景には、通勤時間帯の混雑を避けたいといったニーズやインバウンド需要が高まっていることがある。少子高齢化の進展により乗客数の増加が見込みにくいなか、各社はサービスを充実させることで収益性を高める狙いだ。

 京王電鉄<9008>は3月16日、2018年春から有料の座席指定列車の運行を開始すると発表。この列車は平日および土休日の帰宅ラッシュ時に運行し、勤務先や外出先から帰る際の着席ニーズに対応する。また、座席指定列車の運行開始に向け、約100億円を投じ新型車両50両を導入する計画も明らかにした。

 東武鉄道<9001>は3月28日から東上線の平日朝の通勤時間帯に上りTJライナー(座席定員制)の運行をスタート。これまでは夕方から夜の時間帯の下りでTJライナーを運行していたが、さらにサービスを拡充する。

 小田急電鉄<9007>は3月26日にダイヤ改正を実施し、特急ロマンスカーの停車駅を追加した。新たに加わったのは神奈川県央地域のターミナルである海老名駅と、国際観光地の大山地域の最寄り駅となる伊勢原駅で、通勤や観光の需要を見込んでいる。

 京阪電気鉄道<9045>は17年をメドに座席指定の特別列車「(仮称)京阪特急プレミアムカー」を導入する計画。沿線を訪れる訪日外国人が増加するなど、事業環境が大きく変化していることに対応する。

 京浜急行電鉄<9006>は15年12月初旬のダイヤ改正で、平日朝のラッシュ時間帯の上りで「モーニング・ウィング号」を新設した。1992年から平日夕方の下りで運行し好評なことから新たに導入を決めた。

 西武ホールディングス<9024>傘下の西武鉄道は既に朝夕で座席指定の特急レッドアロー号を、京成電鉄<9009>はモーニングライナーおよびイブニングライナーを運行している。西武鉄道は3月14日、18~19年度に新型特急車両を投入することを発表している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想