木下 晃伸さんのブログ

最新一覧へ

« 前へ263件目 / 全437件次へ »
ブログ

【投資脳*海外株】8割が先月取引ゼロ、瀕死の不動産代理業

■みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
経済アナリスト、木下晃伸(きのした・てるのぶ)です。

■2日の香港株式市場でハンセン指数は続落。
指数の終値は前日比101.81ポイント(0.72%)安の1万3939.09と、
節目の1万4000を下回り、6日以来の安値を付けています。

特に、不動産の環境悪化に対する警戒感を背景に不動産株が下落、
その流れで銀行株にも売りが続いています。

そこで、本日は苦境に立たされている香港不動産市場を俯瞰、
今後の注目点をお伝えできればと考えています。

本日もどうぞよろしくお願いいたします。


※本資料の利用については、必ずプロフィール画面の
重要事項(ディスクレーマー)をお読みいただいた上ご利用ください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…

●【香港】8割が先月取引ゼロ、瀕死の不動産代理業[建設]
●【中国】百度に独禁法違反の疑い、市場を独占[IT]
●【英国】インターコンチ、第3四半期は40%減益[観光]

※ニュース提供/NNA(http://www.nna.jp/
著者により一部文章が削除、変更されるケースがございます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…

●【香港】8割が先月取引ゼロ、瀕死の不動産代理業[建設]

中小不動産代理店の業界組織、香港地産代理商総会は10日、
会員企業の8割が先月の売買成約件数がゼロだったとして、業界の窮状を訴えた。
今後1~2カ月で中小店の倒産ラッシュが起きるとの予測もあり、
業界は政府に対し金融機関の貸し渋り対策など市場救済に動くよう求めている。

同会がこのほど会員900社のうち165社に対し行った電話アンケートによると、
8割が10月の売買成約が1件もなかったと答え、
賃貸の成約すらなかった会員も半数に達した。
回答した会員の半数は、今後1年以内に住宅市場の回復は難しいと悲観的だった。

「1978年からこの商売をやっているが、こんな状況は初めて」と李純鶴会長。
新型肺炎SARSのときですら取引は動いていたとした上で、
「今は銀行が金を貸さないから買い手が市場に参加できない」と金融機関を批判した。
【木下コメント】
不動産は、企業体は借金して投資する。
そのため、金融機関からの融資を止められてしまうと、
途端にビジネスが回らなくなる。

日本でもゼファーやアーバンコーポレイション、
ニューシティレジデンス投資法人が破綻した事例も全く同様だ。

しかし、逆に言えば、不動産が動き出すタイミングは、
銀行の融資姿勢が転換したということ。
まだタイミングは先になると考えられるが、
“取引0”からすれば、投資家としては、ゼロが若干回復するだけでも、
動き出したことを確認できる。

不動産は、名の通り不動産だが、マネーフローの中で、
貿易財として見るべき投資対象。
特に、香港における状況は、地味だが逐一チェックしていく必要があると考える。


●【中国】百度に独禁法違反の疑い、市場を独占[IT]

法制時報によると、中国の検索エンジン大手・百度が
市場の独占的な地位を利用して、不当に他社のサイト閲覧を妨害しているとして、
製薬関連サイトの運営者が、中国工商行政管理総局に独占禁止法違反の疑いで
調査を求める訴えを起こした。
今年8月1日に中国で独占禁止法が施行されて以来、
インターネット関連では、初の調査依頼となる。

訴えを起こしたのは、百度と、検索結果を上位に表示する契約をしていた河北省の
製薬会社経営者で、サイトの全民医薬網を運営する王冠ユウ(王に玉)氏。
王氏は百度の代理店を通して、
今年の3月から百度のアクセス数アップ支援サービスを利用。
全民医薬網の閲覧数は1日8,000回を超えたが、9月に百度との契約が終了し、
同社に登録していたドメイン名の変更後は訪問者が激減、
後に意図的に百度の検索対象から除外されていることを知った。
このようなケースはほかにも多くあるという。

中国では、市場の半分以上占めると独占禁止法の疑いがあるが、
百度の今年第2四半期の検索エンジン市場の占有率は64.6%に上るという。

【木下コメント】
インターネット業界において“独占”ということは、
非常にセンシティブな問題だ。というのも、
実際にはインターネット業界は、独占が起こりやすいものだからだ。
従来型のビジネスをモデルにした独禁法を当てはめるのは
理に適っていないように思う。

韓国でも同様の問題が起こっている。
ポータルサイト“ネイバー”を運営管理するNHNが、
圧倒的なシェアにより阻害されていると競合から訴えられている。
結果、株価も軟調だ。

※Baidu.com, Inc. (ADR) (Public, NASDAQ:BIDU)
http://finance.google.com/finance?q=NASDAQ%3ABIDU

※NHN Corp (韓国店頭株式市場(KOSDAQ))
http://jp.reuters.com/investing/quotes/quote?symbol=035420.KQ 

一方で、マザーズ上場のインターネット通販会社、
ネットプライスドットコムは11日、同社の連結子会社である
ネットプライスインキュべーション(以下、NPI)を通じ、
上海にEコマース(電子商取引)事業の企画・開発・運営を行う
現地法人を設立すると発表した。

中国向けの輸出支援分野でアリババと業務提携することも決まっており、
新たなビジネスチャンスを取りにいこうとしている。

ネット業界は、トップ企業がいつまでも君臨しているとは限らない。
かつてグーグルが、ヤフーを短期間で追い抜くとは
ほとんどの関係者が想像していなかったに違いない。
ネット業界の隆盛には、注意を持って眺める必要がある。


●【英国】インターコンチ、第3四半期は40%減益[観光]

ホテル大手インターコンチネンタル・ホテルズ・グループは11日、
第3四半期(7~9月)の決算を発表した。
最終利益は9,100万ドルとなり、前年同期比40%縮小した。
売上高は7%増の4億8,600万ドル。
本業のもうけを示す営業利益は1億1,700万ドルと19%落ち込んだ。

同社が第3四半期に追加した客室数は1万9,000室強となり、
過去最多を記録している。
現在約9万室分を建設中で、2009年末までに半数ほどが完成する見通しだ。

【木下コメント】
人が来ないところには、モノもカネも集まってこない。
結果、経済に躍動感が生まれない。

振り返ってみれば、中国においては、
北京オリンピックが開催された8月においても、
北京市は前年同月比マイナスの観光客を余儀なくされた。
その結果が、今の大幅な株価下落につながっている。

16年に渡り好景気を謳歌してきた英国でも変わらない。
観光客は、一見するとビジネスと関係がないように見えるかもしれないが、
注意を払わなければならない経済指標のひとつだ。


■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
 編集後記
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

昨日の米国株安に続いて、アジア各国の株価もつられて下落しています。
一喜一憂する相場ではありますが、焦点はずいぶんと絞られています。

短期的には、14日、15日の金融サミット、
数ヶ月というタームでは、北米クリスマス商戦、
そして、長期的にはマネーの拡散、という点です。

まず、金融サミット後の株価推移を見守る、という意味では、
今は無理をせず現金比率を高めておく、ということしかありません。

また、北米クリスマス商戦はかなり厳しい。
だから、外需は慎重に対応する。
そして、マネーフローの流れは、金融サミット後に
世界の市場に安心感が広がれば、マネーが拡散する可能性もあります。

今週は、大事な1週間だと思います。
コメントを書く
コメントを投稿するには、ログイン(無料会員登録)が必要です。