TOPIX -29@1,984
日経平均 -521円 @28,546円
米国株式相場ではハイテク株を中心に大きく下落した。やはり米長期金利がほぼ確実に上昇するという見通しでは、割引率である資本コストの上昇を通して理論株価は必ず下がるため、現実の株価はそれを先取りして動くのが自然である。さらに、金融緩和縮小は過剰流動性によって支えられてきた株式相場にとってはネガティブ材料であることに間違いはない。ナスダックの大幅下落を受けて、日経平均は前場から下げていたが、後場になると下げを拡大した。それは既に決まっていて実施され始めた米国の量的金融緩和縮小(=テーパリング)に加えて、欧州中央銀行(ECB)もコロナ危機で導入した緊急買取制度による新規資産購入を2022年3月末で打ち切ると12月16日に発表していて、さらに日銀も本日17日の金融政策決定会合で、コロナ禍に対応するために始めた資金繰り支援策を縮小すると決定した。これで日米欧が揃って金融緩和縮小へ向かうことが決定的となった。これを今日の株式相場は嫌気して割高感が強い銘柄を中心に売りで反応した。
日経平均の日足チャートを見ると、昨日やっと25日・60日・260日の各移動平均線の上に再浮上したばかりだったが、本日はまたそれを割り込み、上向きの10日移動平均線と接するところまで急落した。長期的に上昇基調を維持するためには上向きの260日移動平均線の上で株価は推移しなければならないが、今はその分水嶺の攻防戦となっている。また、視点を少し変えて見ると、今年1月29日安値@27,629円と9月14日高値@30,795円の間で上下動を繰り返す高値圏での保ち合い相場が続いており、昨日の急騰も本日の急落もその範囲内での動きである。それでも、8月29日安値@26,954円を起点とする三角保ち合いを形成中と見ることができ、約1カ月後にはその三角形の先端に至り、上下どちらかへ放れるとイメージすることもできる。但し、ほとんどの個人投資家は「チャートが未来の株価を決める」とチャートを過信している節があるが、株価を決めるのは、過去から今日までに確定した株価チャートの動きではなく(定石的なパターンはあるが)、近未来(1~2年先)の業績見通し(=予想EPS、つまり、未来のファンダメンタルズの変化)の変化とその見通しに対する楽観度・悲観度(=予想PER)の変化である。だから、業績見通しの背後にある事業環境の変化、さらにその奥にある世界経済の変化に常に気を配る必要がある。
33業種中29業種が下げた。下落率トップ5は、精密機器(1位)、サービス(2位)、金属製品(3位)、その他製品(4位)、電気機器(5位)となった。