あっちは、トレードをチャット方式で習った。その期の受講生の全トレード添削があり、出席している門下生の提出トレードの添削が、含まれていた。
毎回そこそこまとまった量があったからこそ、見えてくるものがあった。当初は、師匠が褒めて伸ばすタイプだったため、自分の実力が華麗に上昇し、すぐに億をとれるトレーダーになれると錯覚した。
錯覚はしたが、自分の五感で確かめろ、手抜きするなよ死ぬぞ分野の仕事に就いていたため、そんなことは全然ないという現実をすぐに把握した。当時の受講生の中で、あっちは一、二を争う知識なしだったが、現実だけは誰より掴んでいたと思う。
そもそも添削を希望するということは、稼げていないということだ。
利益は出せても、自分のやっているトレードがぐらついているから添削を希望する。
自分の期を終えて、次の期も受講していたころのあっちは、ぐらぐらゆらゆらしていたと思う。
そしてそれは、あっちだけではなかった。
何が、経験年数も知識もある門下生の足を引っぱっているのか?
真剣に、他人様のトレードを追体験しつづけて、わかったことがある。まず、短期トレードでは、資金を管理できなければ論外だということ。
そして、2つ以上の何かがあるときには、1つだけを選べる者が強い。今、稼げていないのなら、複数に手を出してもモノにはならないということだ。
さらに、1つだとカウントしていたものが、実は2つだったものがあり、あっちはここでつまづいて、樹海漂流をしていた。
(つづく)