早期の米利上げ懸念が後退して・・・

優利加さん
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昨日の米国株式相場は続伸して主要3株価指数が市場最高値を更新した(DJIA +104.95 @36,157.58, NASDAQ +161.98 @15,811.58, S&P500 +29.92 @4,660.57)。ドル円為替レートは114円台前半での動きだった。本日の日本株全般は上昇する銘柄が多かった。東証1部では、上昇銘柄数が1,571に対して、下落銘柄数は551となった。騰落レシオは90.94%。東証1部の売買代金は3兆6854億円。

TOPIX +24 @2,056
日経平均 +273円 @29,794円

昨日11月3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、パウエルFRB議長は今月からテーパリングを開始するが利上げには慎重な見方を維持した。これにより、早期の利上げ懸念が後退して米主要3株価指数が続伸して揃って史上最高値を更新した。この流れを好感して本日の東京市場でも買いが優勢となった。日経平均は一時350円超上げたが、上値は重かった。

日経平均の日足チャートを見ると、窓を空けて上昇したが短陰線で終えた。寄り付き後は売り圧力に押し込まれたということである。そうは言っても、10日、25日、60日、260日移動平均の傾きはすべて上向きであるので、上方向へ動きやすい。

米FRBは今月から資産購入をこれまでの月1200億ドルから月150億ドルずつ減らすことになるが、資産購入のペースは落ちるがまだ量的金融緩和は続く。そして2022年半ばには資産購入量がゼロになり、この時点ではじめて保有資産は増加しなくなり、量的金融緩和はそこで終了となる。強力な金融緩和政策が継続してきたからこそ、新型コロナウィルスの感染拡大に襲われながらも米経済は持ち堪えながら主要3株価指数は史上最高値を次々と更新するほど伸びてきた。しかし、量的緩和は2022年半ば頃には終了する予定で、供給網のボトルネックから発生している現在のインフレが続けば、どこかの時点で利上げが待っている。そのタイミングは早ければ2022年後半となる。米国の利上げが始まれば、米国以外の各国も自国通貨安およびその副作用である輸入物価の上昇を防止するため、利上げに踏み切らざるを得ない。米金利の利上げは米ドル建てで巨額の借金をしている新興国にはダブルパンチ(金利負担の上昇+通貨安による借入元本の実質的増加)となり景気に強烈なブレーキをかける。つまり、米国の金融引き締め政策への転換は世界の金融引き締め政策変換を意味する。そうなると、世界の株価は大起きな調整局面に入る可能性が高くなる。FRB議長の決断一つで世界経済はこんなにも変わりうる。長くマーケットで生き残ろうとするなら、こういうシナリオも頭の隅に入れておく必要がある。

33業種中27業種が上げた。上昇率トップ5は、繊維製品(1位)、電気機器(2位)、倉庫・運輸(3位)、機械(4位)、ガラス・土石(5位)となった。

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