木下 晃伸さんのブログ

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【投資脳*海外株】「ぜいたく品売れず」とデパート、小売業も

■みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
経済アナリスト、木下晃伸(きのした・てるのぶ)です。

■オバマ氏当確が世界中の株式市場上昇に弾みをつけました。
5日の香港株式市場でハンセン指数は大幅に3日続伸、
終値は前日比455.82ポイント(3.16%)高の1万4840.16となりました。

■また、上海株式相場は4営業日ぶりに反発、
上海総合指数は前日比53.906ポイント(3.15%)高の1760.609で着地。
オバマ効果に加え、中国政府が財政政策を打ち出すと伝わったことが
株価の支援材料になりました。

しかし、大統領選挙が決着を迎えた米国株は下落でスタート。
短期的な大幅上昇から一転、利益確定の売りがしばらく続く可能性があります。

■今は“置いて行かれる恐怖”との戦い。
無理をしてついていこうとすることはありません。
それよりも、まだ見えていないリスク要因はないか、
調査・分析することが重要だと思っています。

本日は、リスクと考えられるなかでも、
消費に焦点を当てお伝えしたいと思います。


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●【中国】「ぜいたく品売れず」とデパート、小売業も減速[商業]
●【英国】M&S、上半期は34%減益[商業]
●【台湾】製造業10万社がリストラか=104人力銀[労働]

※ニュース提供/NNA(http://www.nna.jp/
著者により一部文章が削除、変更されるケースがございます。

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●【中国】「ぜいたく品売れず」とデパート、小売業も減速[商業]

景気鈍化の影が、小売業にも忍び寄ってきている。
上場している小売業45社の今年第3四半期(7~9月)の業績をまとめると、
営業収入は昨年同期比約18%増の284億9,000万元(約4,104億円)と、
伸び幅に疲労感が出てきている。

今年1~9月の営業収入は23.1%増の923億7,500万元、
営業コストは21.7%増の734億6,600万元で、
純利益は40.9%増の29億9,800万元となった。
しかし、第3四半期だけをみると、純利益は約17%増の7億700万元と、
鈍化が顕著となっている。

広州の高級デパート・広州友誼は「腕時計やネックレス、
高級アパレルなどの贅沢品はマイナス成長となっているため、
健康商品や家具など日常生活用品を重点に置いた販売に調整した」と渋い。

今後半年間の小売業界について、渤海証券は
「資産市場の低迷や期待インフレ率の低下などの影響で
小売販売額の増加の鈍化が生じるだろう。
特に娯楽用品や化粧品、自動車などの販売は減速する」と懸念している。
中国証券報が伝えた。<全国>

【木下コメント】
モメンタム、という言葉がある。
伸び率に着目し、伸び率が高ければそれだけ投資魅力がある、という考え方だ。

しかし、この言葉、伸び率が“鈍化”すると途端に輝きを失う。
今までの伸び率が達成できないとなると容赦なく売り込まれる。
そこで考えたいのが、
“上場している小売業の純利益は約17%増と鈍化が顕著”という言葉だ。

モメンタムに着目が集まり、伸び率鈍化が嫌気されることもある。
ただ、絶対値で伸びることが好感されるステージもある。
伸び率鈍化が嫌気される局面というのは、中国が新興国としてのステージから、
先進国のステージへと進化を遂げる過渡期にあたると考えられる。


●【英国】M&S、上半期は34%減益[商業]

小売大手マークス・アンド・スペンサー(M&S)は4日、
上半期(9月27日までの26週間)の業績を公表した。
継続事業の税引き前利益(特別損益など除く)は2億9,780万ポンドとなり、
前年同期比34.1%減少した。

売上高は0.8%増の42億1,960万ポンド。
衣料品は3.5%落ち込んだが、
家庭用品と食品がそれぞれ4%、0.5%伸ばしてカバーした。

【木下コメント】
本来嫌気されるのはこういったニュースだ。
さきほどの中国と異なり、英国では明確に消費減退の動きがみられる。
実際、同社株価はここ10年の底値圏にある。

※Marks and Spencer Group Plc (Public, LON:MKS)
http://finance.google.com/finance?q=LON%3AMKS 

これから本格化するクリスマス商戦を暗示するニュースだ。
先進国はどの国も国力を表すGDPのうち6割、7割が個人消費で占められている。
英国も例外ではない。

海外消費動向は、金融動向以上に、
年末、年始にかけて観察しなければいけない事項だ。


●【台湾】製造業10万社がリストラか=104人力銀[労働]

就業仲介サービスの104人力銀行の調査によると、
製造業約10万社が年内にリストラを計画していることが分かった。
世界的な金融危機の影響で人員削減・未補充の業種は幅広い。
人員削減・不補充の人数を昨年比で見ると、
最も多いのは半導体業で1万6,500人に上っている。
次いで百貨店・小売業(1万2,600人)、通信業(1万人)、
電子部品関連業(1万人)などとなっている。

こうした事態に104人力銀行の方光イ経理(イは王へんに韋)は
「今年の労働市場の変化は劇的だ」と話す。

5月の馬英九政権誕生前からあった景気上昇ムードと雇用増への楽観的な見方から、
中台の経済交流拡大の成果が期待を下回っていることに加え、
金融危機により世界経済を取り巻く環境が大幅に変化したことで、
労働市場が急速に収縮したことを指している。

人員削減または不補充の産業はIT(情報技術)、
百貨店・小売業、建設業などまんべんなく、
方経理は金融危機の影響は全産業に及んでいると指摘した。

【木下コメント】
金融恐慌が実体経済に波及する典型例だ。
ただし、幸か不幸か私たち日本の投資家はその事実を実体験として持っている。
そう90年代から00年代初のデフレ景気だ。

特に、労働環境が変わったのは97年から98年。
山一証券が自主廃業し、つぶれないと言われていた都市銀行、北海道拓殖銀行が
破たん、未曾有の金融恐慌に突入したタイミングだった。

その後日本は、回復に向かうまで、およそ6年の歳月がかかった。
仮にこの6年という数値を見たとき、6年もかかるのか、という見方がある一方で、
6年待てばいいのか、という見方もある。

日本の金融恐慌は、各国当局が失敗事例として学んでいる。
そして、11月15日の金融サミットによってさらに投資家を安心させる可能性は高い。
しかし、金融恐慌の後にくるデフレ景気は、欧米共に未体験ゾーンだ。
金融恐慌の後に来る実体経済悪化のリスクは、
急速な株高を演じている世界株のリスク要因となりうる。


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 編集後記
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●急速と休息

どちらも“きゅうそく”です。

同じ読み方なのに意味がまったく異なります。
でも、音(オン)を馬鹿にしてはいけないと思います。

言葉は文化的な要素を色濃く持っています。

急速な伸びには休息が必要。
株式市場にも当てはまる考えは、
歴史にも裏打ちされているような気がしてなりません。
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