悪材料が少し弱まったのでリバウンドを試しに行く

優利加さん
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先週金曜日の米国株式相場は小幅安となった。(DJIA -8.69 @34,746.25, NASDAQ -74.48 @14,579.45)。ドル円為替レートは112円台後半の先週金曜日比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は上昇した。東証1部では、上昇銘柄数が1,834に対して、下落銘柄数は295となった。騰落レシオは107.29%。東証1部の売買代金は2兆7085億円。

TOPIX +35 @1,997
日経平均 +449円 @28,498円

先週まで株価を下へ引っ張ていた悪材料がやや後退したことで本日の日本株全般はリバウンドした。岸田文雄首相が唱えていた金融所得課税の見直しは当面触れないと明言したため、株価にマイナスとなる税率引き上げ懸念が遠のいた。また、中国の電力不足による供給制約については、石炭の輸入を増加させ、当局が電力料金の値上げを容認すると伝わり、電力の供給制限で中国景気が悪くなるという心配も遠のいた。さらに、米国長期金利の上昇により円安・ドル高が進んだことで自動車などの輸出関連銘柄が買われた。日本国内では新型コロナウィルスの新規感染者は明らかな減少を描いており、日本国内の経済活動が正常化へ向かうとの期待が高まった。

米国連邦政府の法定債務上限を4800億ドル(54兆円弱)引き上げることで与党民主党と野党共和党が合意したため、米国債の債務不履行(デフォルト)はとりあえず回避された。しかし、これは当面回避されただけに過ぎず、12月初旬にはまた資金が尽きる。8月へ少し話を遡らせると、債務上限が近づいて来たので財務省は手元資金を取り崩しつつ、短期国債の発行を抑制してきた。そのため金融市場ではカネ余りとなった。昨年の夏には1.7兆ドルあった政府預金残高は民間部門へ資金が流出したことで、現在は900億ドル割れ寸前まで激減した。他方、FRBの量的緩和と新型コロナウィルス対策として巨額の財政出動を行ってきたため、こちらの経由でも金融市場にはお金が溢れ返ってカネ余り度を増した。財務省が短期国債の発行を抑制しているため、現在は発行が償還を下回り、「償還超過」の状態となっている。その結果、短期国債を中心に運用してきたMMF(マネー・マーケット・ファンド)は資金運用先が枯渇して窮地に追い込まれた。そこへFRBが「リーバース・レポ」で緊急避難場所としての助け舟を出した。この取引によりFRBは0.05%の利息を民間の資金運用者へ払うので資金が殺到し、9月末の残高は1.6兆ドルに膨張した。しかし、これは健全なマネーマーケットの状態ではない。巨額の資金がリバース・レポに長期間滞留すれば、民間のレポ市場のレポ金利が急騰するリスクがある。

本日の外為市場では円相場が下落し、一時1ドル=113円台前半と2018年12月以来2年10カ月ぶりの円安水準となった。前週末に発表された9月の米雇用統計で米国の雇用情勢が底堅いことが改めて確認され、米長期金利が1.6%台まで上昇したため、日米金利差拡大により米ドルの魅力が増したことが背景にある。

原油価格が売り手であるOPECが心配するほど上昇している。WTI先物の期近物は10月8日に1バレル=80.11ドルまで上げる場面があった。80ドルを超えるのは約7年ぶりである。商品である原油の価格が上昇すると売り手であるOPECには一見すると都合が良いと思うかもしれないが、実はそうではない。原油価格が上がり過ぎると、米国産のシェール・オイルの採算が良くなり、OPEC産の原油のシェアが落ちてしまうからだ。米国シェール・オイル油井の平均開発コストの上限は1バレル=58ドルである。OPECにとって頭が痛いのはライバルである米国シェール・オイルの動向だけではない。根本的な問題は世界が、特に先進国が、脱炭素社会へ向かっていることである。それでも新興国は石油や石炭への依存が下がることはなく、経済発展を重視するなら寧ろ高まる可能性の方が高いと見られている。

日経平均の日足チャートを見ると、10月6、7日で形成された安値圏での「孕み線」を上抜けした。これで暫くはリバウンドの力強さを試しに行くだろう。ただ、このまま一気に上にいくことは稀で、暫く反発を続けるとまた直ぐに売りが優勢となりもう一度下値の底堅さを試しに行くことが多い。

33業種中32業種が上げた。上昇率トップ5は、海運(1位)、空運(2位)、鉱業(3位)、輸送用機器(4位)、ガラス・土石(5位)となった。

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