TOPIX -6 @1,942
日経平均 -293円 @27,529円
昨日も書いたように日本株は少なくとも五重苦で強い下押し圧力に晒されている。今日は自律反発狙いの買いも多く入り、前場は上げ幅が300円超となる場面もあったが、結局、8日続落した。8日続落は2009年7月に9日続落して以来、約12年3カ月ぶりの珍しい記録である。米長期金利は一段と上昇したため、その影響を最も受ける値がさ成長株中心に売りが優勢となった。また、原油高により日本企業のコストが増加するため、企業収益を押し下げる懸念が高まっている。このため、日経平均は一時500円超の下げとなった。今日は300円プラスから500円マイナスまで振れ幅が大きかった。
現在起こっている原油高はコロナ禍のピークアウトにより世界経済が急回復する過程で需要が急拡大する圧力だけでなく、構造的な供給制約の問題も原油高を促進している。それは2050年までに温暖化ガス排出を実質ゼロにする「脱炭素」の世界的な動きとそれを実現するための規制強化である。これにより、原油高の圧力が増強され、温暖化ガス排出枠取引の価格も上昇し、両方のコスト増により日本企業のコストを押し上げている。規制強化が先行しているため原油・シェールオイルの供給にはブレーキがかかる一方、再生可能エネルギーへの転換は遅れている。それでもエネルギーは世界的に必要なため、原油だけでなく石炭の価格も高騰している。その先に見えるものは世界的な「コスト・プッシュ・インフレ」と、それから派生して起こる金利の上昇である。金利が上昇すれば景気が悪くなるので、株価も当然下がる。このような連想が株価を押し下げている。
日経平均の日足チャートを見ると、9月14日を起点として下方新値10本まで下げてきた。また、今年1月29日を起点として見ると27,600~30,700円のレンジで横這い相場が続いてきた。その下限まで下げてきた。8月20日安値@26,954円を割り込んで下抜けするかどうかに注目している。新型コロナウィルスの新規感染者がピークアウトして経済が正常化へ向かいつつあるという好材料と五重苦を測りにかけて短中期的にどちらの力が強そうなのかというその時々の感触が相場のベクトルを決める。事前に見極めるのは至難の業である。だから「相場の見方」だけでは不十分であり、相場の見方の誤りを補正するために、「相場のやり方」である買い玉だけでなく売り玉も混ぜた「建玉操作」の「技術」が重要なのである。
33業種中19業種が上げた。上昇率トップ5は、鉱業(1位)、石油・石炭(2位)、銀行(3位)、電気・ガス(4位)、ガラス・土石(5位)となった。