TOPIX -36 @2,065
日経平均 -660円 @29,840円
33兆4000億円もの負債を抱える中国の不動産大手、中国恒大集団の資金繰り懸念が高まり、日本が祝日中に欧米株が急落した。この流れを引き継いで、日本株全般も大きく下落した。日経平均も6月21日以来の大きな下げ幅となった。中国のスタートアップ企業に多額の投資をしているソフトバンクグループは勿論、中国景気の影響を受けやすい海運や鉄鋼株の下げが目立った。ただ、売り一巡後は押し目買い狙いの買いも入り、今のところ2008年秋のリーマンショックのような世界的な暴落はないだろうという見方が主流であり、最終的には中国政府が何らかの救済する可能性が高いと市場は見ているようだ。その証拠に、米国株価指数先物は時間外で上げている。
2008年秋のリーマンショックがあのように強烈に拡大した主な理由は、証券化商品があまりに複雑なため債権債務のつながりとそのネイティブ・インパクトの波及が計量化できず、不安が不安を呼んだために世界的な信用収縮が起こったためであった。しかし、今回の中国恒大集団は不動産会社であるため、どの銀行が融資しているか、誰が工事を請け負っているか、誰が投資家として債券をもっているか等、ある程度把握できる。ただ、そうはいっても規模が巨大なだけに当面は余震が続くだろう。9月23日に利払い日を迎える米ドル債の時価は1ドル当たり30セントを下回り、利回り換算すれば500%以上である。当然、新規の社債発行によって借り換えることは不可能であり、株式の新規発行も買い手が見つからないだろう。過剰債務問題は中国恒大集団だけの話でなく中国の不動産産業全体の特徴である。これからも繰り返し蒸し返される問題として覚悟しておく必要がある。
日経平均の日足チャートを見ると、高値圏での売り線である「包み線」「はらみ線」の出現の後、本日、急落した。中国恒大集団の過剰債務問題が直接の引き金だが、もともと当面の高値圏で推移していたので良い「売る口実」になったと見ることもできる。この悪材料を今日1日で消化したかどうかはまだ判明しない。数日間は経過観察が必要だろう。
33業種中30業種が下げた。下落率トップ5は、鉄鋼(1位)、機械(2位)、海運(3位)、倉庫・運輸(4位)、情報・通信(5位)となった。