TOPIX +27 @2,092
日経平均 +374円 @30,382円
日経平均の25日移動平均線乖離率が7%台まで上昇し、騰落レシオは135%まで上げているなど、短期的な過熱感を示すテクニカル指標は複数出てきているのだが、勢いがあるときはそう簡単には止まらない。米国株式相場は下げたが、日本株全般は続伸した。米フィラデルフィア半導体指数(SOX)が上昇したことを受けて値がさ半導体関連株が上げた。東京エレクトロンとアドバンテストの2銘柄だけで日経平均を約120円押し上げた。昨日急落した香港ハンセン指数は今日は急反発したことも日本株を下支えした。
日本株がこんなにも力強く上昇している背景をもう一度整理しておこう。
(1)不人気が極まった菅義偉首相が退陣することが決まり、自民党政権はどうやら維持される見通しとなった。衆議院議員選挙を控え、次期自民党総裁及び首相が打ち出すであろう経済対策が景気回復を促進するとマーケットは期待している。
(2)米国の景気回復のペースが思っていたよりも遅く、その分だけFRBによる量的金融緩和の縮小(=テーパリング)の開始およびその後に来る利上げは後ろ倒しになるとの見通しが有力となってきた。つまり、株式相場にとって嫌なことが先送りになりそうだということは「良い」ことである。
(3)先進国では新型コロナウィルス対策によりさらに増加した過剰流動性は金融市場に溢れており、少しでも儲かりそうな国と市場へ資金が向かっている。史上最高値を更新している米国株式市場よりも、企業業績見通しの改善に比べて出遅れている日本株式市場の方が期待リターンは高くなるとの見立てもあり、外国人投資家の日本株の買い越し額が急増している。
(4)新型コロナウィルスの新規感染者が減少傾向になったため、行動制限が緩和される見通しとなった。
これだけ好条件が揃うことは滅多にない。但し、上昇は必ずどこかで止まり、誰かが最高値で買い「ババ」を引く。ファンダメンタルズ分析である「株価変動の原理原則」とテクニカル分析である「定石」を意識しながら最高値圏に達したら新規の買いはしばらく控えることが重要だ。
日経平均の日足チャートを見ると、直前の2つの売り線である「包み線」と「はらみ線」を振り切り、今回の戻り高値を更新した。3月18日の戻り高値@30,485円に並んだ。こうなると、来週中に2月16日の高値@30,174円を上抜けできるかどうかに注目したい。もしそれが実現すると、株式相場は「成層圏」に入る。予想PERが現在の14倍から16倍(=長期的に1.8%の成長を織り込む水準)へ戻るだけで、日経平均は34,640円にまで上がる。
33業種中29業種が上げた。上昇率トップ5は、証券(1位)、その他金融(2位)、化学(3位)、金属製品(4位)、サービス(5位)となった。