TOPIX -7 @1,929
日経平均 -101円 @27,641円
早期のテーパリングの開始観測やアフガニスタンでの自爆テロによる地政学的リスクの高まりを背景に米国株の続伸が一服した。日本時間の今夜遅くに予定されているジャクソンホール会議でのパウエル議長の講演も控えており、且つ、日本株には独自で上がり続ける材料が不足しており、本日の日本株は下げる銘柄が多かった。日経平均は一時は260円安もあったが、押し目買いが入り切り返した。
日経平均の日足チャートを見ると、横向きの25日移動平均線の下に少し沈み込んだが、下ひげを引いた陽線で終えたのでまだ上へ戻ろうという力は感じられる。そうはいっても、日本株独自の買い材料が不足しており、株価を継続力ある上昇軌道へ戻すには新型コロナウィルスの感染拡大がピークアウトすることくらいしかない。業績見通しの改善が続いているため大崩れすることはなさそうだが、かといって力強く上昇し続ける訳でもない。日本株がもたもたしている間に早晩、米国ではテーパリングが決まり、その数か月後には実際にテーパリングが始まり、米国株式相場が調整モードに入るシナリオを考えておく必要がある。
テーパリングは金融緩和のアクセルを緩めることなので金融引き締めではない。それでもマーケットはネガティブに反応するだろう。リーマンショック後の量的金融緩和は需要サイドに働きかけてそれなりに効果があった。しかし、新型コロナウィルス感染拡大下の経済では、経済活動の不調は需要側ではなく、供給側のボトルネックが主な原因なので量的金融緩和では効果が限定的である。その上、過剰流動性は安いコストで資金調達できるのでリターンを求めて株式市場や不動産市場に大量の資金が流れ込み、価格を押し上げ、バブルを形成しやすいという副作用もある。もうそろそろ潮時であるという議論には説得力がある。但し、新型コロナウィルスのデルタ型が猛威を振るっているので、これが経済回復にどの程度の悪影響を与えるかを見極める必要があるだろう。
33業種中29業種が下げた。下落率トップ5は、精密機器(1位)、倉庫・運輸(2位)、石油・石炭(3位)、電気・ガス(4位)、卸売(5位)となった。