TOPIX -27 @1,897
日経平均 -305円 @27,281円
7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録要旨が公開され、大半の参加者が年内に資産購入ペースを縮小する(テーパリングの開始)ことに賛成していることが分かった。テーパリングの年内開始という見方は事前の予想通りだったが、それでも米国株式相場はネガティブに反応した。米株式相場の下落はテーパリングの開始だけでなく、景気減速懸念が高まっていることも影響している。テーパリングの開始が意味することはこれまでの金融緩和から引き締め方向へ舵を切ることである。それにも拘わらず、10年物長期金利は1.2%台で上がるどころか、むしろ下げそうな動きですらある。それだけ景気減速を織り込んでいるとも言える。実際、7月の住宅着工件数は3カ月ぶりに減少した。米長期金利は上げていないが、米ドルは買われドル高・円安となった。9月3日発表の8月の雇用統計で労働市場での着実な回復が確認されれば、次回の9月のFOMCでテーパリングの開始を決定する可能性が高くなる。8月26~28日のジャクソンホール会議でパルエルFRB議長がどんな講演をするかに世界が注目している。
この流れを受けて、本日の日本株全般も、海運、石油、鉄鋼などの景気敏感株を中心に下げた。日経平均は300円以上下げた。それでも、日経平均は下値支持線である7月30日安値@27,272円を、今日のところは割り込まなかった。目先はもう少し下げることがあるかもしれないが、数カ月先には株価が上がりそうなもっともな理由があるからだ。まず第1に、足元では新型コロナウィルスの感染拡大に歯止めがかかっていないが、やがてワクチン接種の普及率が高まれば感染拡大はピークアウトすると予想される。さらに、衆議院議解散・総選挙に向けて何らかの景気浮揚策が出てくるはずだという期待と、総選挙終了後には政局の不透明感が減退する。その先は、4~9月期の決算で良い結果が期待されている。
日経平均の日足チャートを見ると、25日移動平均線も10日移動平均線も下向きなので下振れしやすい。ただ、下値支持線・帯で踏み留まっており、ここで反発するか底割れするかは明日以降に明らかになる株価材料次第であり、現在までの公開情報を使い今誰がどんな精緻な分析をしても決して分からない。トレーダーとしては、「株価変動の原理原則=不易」と「定石=流行」に従いポジションを取るが、結果的にどちらへ転んでも困らないよう建玉操作すれば良いだけのことである。Don't waste time trying to control what you cannot control, but focus your mind on what you can control.
33業種中、医薬品と食料品を除く31業種が下げた。下落率トップ5は、鉄鋼(1位)、海運(2位)、鉱業(3位)、輸送用機器(4位)、石油・石炭(5)となった。