また「下放れ並び黒」=「まだ下げる」が出現した

優利加さん
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昨日の米国株式相場はナスダックは下げたが、ダウ工業株30種平均とS&P500は史上最高値をまた更新した(DAJI +110.02 @35,625.40, NASDAQ -29.14 @14,893.76)。ドル円為替レートは109円台前半での動きだった。本日の日本株全般は続落した。東証1部では、上昇銘柄数が613に対して、下落銘柄数は1,478となった。騰落レシオは89.59%。東証1部の売買代金は2兆684億円。

TOPIX -9 @1,916
日経平均 -99円 @27,424円

米国株式相場では、ダウ工業株30種平均とS&P500が共に史上最高値を更新した。これを受けて、昨日大きく下げていた日経平均は自律反発を期待して買いが先行して高く始まった。しかし、買い一巡後は失速して後場には下げに転じた。新型コロナウィルスの感染拡大に歯止めがかからず、経済の正常化が遠のいたと見方が支配的になった。さらに上海総合指数や香港ハンセン指数も下げており、日本株の下げに加勢した。ただ、足元は弱含みだが、主力企業の業績見通し推移は悪くないため、深押しすればすかさず押し目買いが入ると見ている。

今年秋には米連邦準備理事会(FRB)が量的金融緩和の縮小(テーパリング)を開始しそうである。そうなると普通は米長期金利が上昇し始めるはずだが、実際はそうなっていない。その一つの理由は、新規国債の発行額を今年11月から縮小させるとの見立てがあるからである。つまり、国債の新規発行額が縮小されれば、買い需要が変わらない場合、価格は上昇する(金利は下がる)からである。これによりテーパリングの衝撃を吸収させようとFRBは目論んでいるのではないかという分析である。

米長期金利が上昇しなければ株式相場に対するネガティブ・インパクトも限られる。さらに為替レートに与える影響も限られる。振り返ると過去5年の間、ドル円為替レートは100円を超える円高にはならず安定的な動きを続けている。これには日本経済の構造的な変化が寄与しているとの見方がある。2012年度には10兆円もなかった対外直接投資(FDI)が徐々に増えてきて2020年度には19兆6000億円になった。この間、これだけの規模の外貨買い・円売りが起こり、それだけ円安圧力になったと考えられる。対外直接投資残高が大きく増えてきたために、2020年度の第1次所得収支の黒字(海外からの利子・配当などの純収入)が21兆円もある。経常収支は18兆円の黒字だが、貿易収支の黒字額は4兆円にも満たない。貿易黒字で稼いだ外貨の大半は円転されるが、利子や配当で稼いだ外貨は円転される割合が小さいと見られるため、外貨売り・円買い圧力は弱まっている。

日経平均の日足チャートを見ると、下向きの25日移動平均線、その下にほぼ横向きの10日移動平均線、さらにその下に株価は沈んでおり、昨日窓を空けて陰線で下げ、本日は高く始まったものの失速して陰線で終えた。昨日の陰線と本日の緯線はほぼ並んでおり、「下放れ並び黒」となった。この線は売り線の一種で、まだ下げるというのが一般的な解釈である。昨年7月29、30日、今年3月22、23日、6月17、18日にも「下放れ並び黒」は出現し、その翌日には急落した。必ずしも同じ事は繰り返されないが、これも定石の一つなので買い方は用心が必要だろう。

33業種中27業種が下げた。下落率トップ5は、空運(1位)、鉄鋼(2位)、石油・石炭(3位)、その他金融(4位)、鉱業(5位)となった。

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