今年4月以降株価が伸び悩んでいる主な理由

優利加さん
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先週金曜日の米国株式相場は反落した(DJIA -149.06 @34,935.47, NASDAQ -105.58 @14,672.68)。ドル円為替レートは109円台後半での動きだった。本日の日本株全般は反発した。東証1部では、上昇銘柄数が1,848に対して、下落銘柄数は301となった。騰落レシオは95.56%。東証1部の売買代金は2兆4572億円。

TOPIX +39 @1,940
日経平均 +497円 @27,781円

米国株式相場は反落した。特にこれと言った買い材料があったわけではないが、本日は、先週大きく下げた反動で自律反発狙いの買いが優勢となり、先週の下落をほとんど帳消しにした。27,300~27,400円の下値支持線・帯は堅かった。日経平均は一時500円以上上げた。決算発表が相次ぐ中で、2021年4~6月期の企業業績が新型コロナ感染拡大前の利益水準を上回る企業が多いことが判明してきた。また、上海総合指数や米株価指数先物も堅調に推移したことが日本株の反発に寄与した。

今年3月5日の日経平均ベース予想EPSは1,308円、予想PERは22.06倍だった。7月30日現在、予想EPSは2,045円、予想PERは13.34倍となった。3月初旬の22倍というのは楽観的過ぎた。過去のブログでも度々指摘したが、日本経済の長期的な成長力から計算すると持続可能な予想PERは16~17倍である。それと比べると現在の予想PERは悲観的過ぎる。

持続可能な予想PERと現在の予想EPSを使って、現在の実力に見合った日経平均の水準を試算するとP=PER x EPS=16 x 2,000=32,000円くらいになる。国内のワクチン接種率が上昇して新型コロナの感染拡大騒ぎが収まれば、これくらいには上がると見積もることができる。

予想PERが22倍から現在の13倍くらいまで低下したもう一つの理由は日銀によるETF購入額の減少である。今年4月以降、日銀はETF購入のルールを変更した。それまでの目安であった「年6兆円」の文言が削除され、さらに午前中のTOPIX下落率が2%を超えない限り買わなくなった。それ以前は「0.5%ルール」で買っていた。その変更により変更前と比べると約7000億円購入額が減少した計算になる。日本企業の実力である予想EPSは着実に上昇して来た。それに比べて見劣りするのが予想PERである。日本経済の先行きに対する見通しが悲観的な方に傾きすぎているため予想EPSが過度に下がってしまった。その下落がせっかくの予想EPS上昇のかなりの分を打ち消している。これが今年4月以降株価が伸び悩んでいる主な理由である。

日経平均の日足チャートを見ると、27,300~27,400円の下値支持線・帯で跳ね返されて自律反発した。先週金曜日の陰線の翌日、たすきを掛けるように陽線で切り返して「たすき線」となった。たすき線はそれまでのトレンドの転換を暗示する線である。しかも、7月14日2週間ぶりに10日移動平均線の上に浮上した。ただ、10日移動平均線も25日移動平均線もまだ下向きなので上よりも下へ振れやすい。

33業種中32業種が上げた。上昇率トップ5は、海運(1位)、鉄鋼(2位)、ガラス・土石(3位)、パルプ・紙(4位)、金属製品(5位)となった。

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