国内経済正常化期待と米国利上げ懸念の綱引き

優利加さん
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先週金曜日の米国株式相場はダウ工業株30種平均が大きく上げ、ナスダックは小幅安となった(DJIA +237.02 @34,433.84, NASDAQ -9.32 @14,360.90)。ドル円為替レートは110円台後半での動きだった。東証1部では、上昇銘柄数が1,466に対して、下落銘柄数は624となった。騰落レシオは100.18%。東証1部の売買代金は1兆9680億円。

TOPIX +3 @1,966
日経平均 -18円 @29,048円

先週金曜日に米国株式相場でナスダックが少し下げた流れを受けて、今日は東京市場でも値がさハイテク株の一部が売られて日経平均の上値は重かった。しかし、下値を売り込もうという動きもなかった。新型コロナウィルスのワクチン接種がさらに拡大すれば経済活動が正常化するとの期待が根強いからだ。そのため鉄鋼、海運、銀行などの内需関連株は上げた。しかし、方向感はなく「夏枯れ」相場となっている。

米国では金融緩和の縮小(テーパリング)の前倒しがほぼ確実となってきたため、株を買うことに対して警戒感が強くなっている。さらに、テーパリング終了後、或いは並行して利上げが待っている。米経済は想定以上に早く回復しており、需要が急回復している。それ自体は喜ばしいのだが、労働力をはじめとして供給の回復が追い付かずインフレ懸念が高まっている。それに伴い利上げ開始の時期も以前の見通しより早まると見られるが、それが2022年中なのか2023年になってからなのかはまだ誰にも分からない。もし利上げが開始されれば、米国株は勿論、日本株を含む世界の株式相場が下げ基調になるのは避けられないだろう。それに加えて、米ドルで資金調達をしている多くの新興国の債務問題を悪化させ、特に経常収支が赤字国の場合は対ドルでそれらの通貨が売られて通貨安となり、それがまた実質債務を増大させて返済を困難にする。米国の利上げは、もはや「あるかないか」ではなく「いつか」という問題となってきた。日本株相場は、ワクチン接種の進展による経済正常化というプラス要因と米国の利上げというマイナス要因の綱引きとなってきた。

日経平均の日足チャートを見ると、先週金曜日に続き、本日も短陰線となったが、横向きに収れんしつつある10日、25日、60日の各移動平均線の少し上で推移している。現状認識は横ばいである。

33業種中20業種が上げた。上昇率トップ5は、鉄鋼(1位)、海運(2位)、小売り(3位)、証券(4位)、繊維(5位)となった。

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