MatsuLingさんのブログ

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日経平均が一時7000円割れ:識者はこうみる

 午前の東京株式市場で日経平均は続落。ヘッジファンドなどの換金売りから一時は7000円を割り込んだ。ディフェンシブ株のほか売り込まれた輸出関連株の一角に実需筋の打診買いが入ったが、海外勢の売りを吸収しきれなかった。

 市場関係者のコメントは以下の通り。

 ●外貨建てで損小さく換金売り膨らむ

 <みずほ投信投資顧問執行役員 岡本佳久氏> 

 円が独歩高となっているため、外貨建てでみると日本株の下げは相対的に小さく、売った場合の損失が少なくてすむ。このため、ヘッジファンドなどが換金売りをする場合、日本株が一番売りやすい。

 ファンド勢には円高を取りに日本株を買う余裕はない。値段構わずの換金売りになっているため、日経平均はファンダメンタルズからかい離した水準になっている。東京市場が外国人投資家の寄与度が大きい市場であることも、現在はマイナスに働いている。国内投資家を増やす努力が必要だ。

 ●円高受けた企業業績の悪化を嫌気

 <大和投信投資顧問株式運用部 チーフストラテジスト 門司総一郎氏>

 下値を買う投資家はいるが上値を追う投資家がいないなか、ヘッジファンドの換金売りが続き日経平均は下げ止まらない状態となっている。中川昭一財務相兼金融担当相は、株の手当てのないままの空売り(ネーキッド・ショート・セリング)禁止をきょうから前倒しで実施すると発表したが、市場の反応は限定的だ。もともと空売りは多くないため規制しても大きな違いはない。

 売りの主体は海外投資家が中心。ヘッジファンドのほか、米国などの一部の外国株投信や年金が換金売りをしており、円が相対的に強い通貨となっていることを受けて日本株がリバランス売りの対象となっている側面もある。ただ、為替の影響としては、外需依存度の高い国内企業決算への下押し圧力の方が、日本株売りの要因としては大きい。

 世界的な株安は、日本だけの問題ではない。新興国を含めた各国協調利下げや為替介入が緊急に必要だとみている。

 ●信用膨張が逆転、人為的円安の反動も

 <三菱UFJ証券 チーフエコノミスト 水野 和夫氏>

 世界的に1995年から始まった信用膨張が逆転している状況だ。円は対ドルで円売り・ドル買い介入を30兆円近くも行い人為的に安くしていたため特に上昇している。米ダウは「根拠なき熱狂」と言われた当時の6500ドルに戻る過程だろう。日経平均は2003年4月につけたバブル後最安値を更新したが、米株の下落に引きずられる形で7000円を割り込んでいる。

 対ドルで130円台まで円安が進むなかで日本の内需企業が効率化を進めていれば、輸出企業の業績悪化によるダメージも軽減されただろうが、十分には進まなかった。

 1929年の大恐慌時と比べ、現時点では政策面は適切に実施されているので、失業率が25%、名目GDPが半減といった事態にはならないとみている。ただ、経済がグローバル化し、一国の問題が世界に広がりやすくなっていることには気をつけなければならない。

 ●個人投資家の優遇策が求められる場面

 <丸三証券・専務 水野善四郎氏>

 資産デフレの色彩が強まる中、日本の株式市場は外国人シェアの高さがあだになり、キャッシュ化を急ぐ世界の流れに巻き込まれる格好となっている。かつての持ち合い解消売りと外国人売りが同じニュアンスのものと考えれば、現在の下げも分かりやすい。株価収益率(PER)や利回りなど従来の株価尺度を踏まえると、異常な水準であるにもかかわらず売りが止まらないのは、相場観に関係なく出てくる売りが多いということで、買いの受け皿を作らない間は、下げに対する恐怖は収まらないだろう。

 ここで買いのラストリゾートとして期待できるのは個人投資家しか見当たらない。実際、新規に株式を購入する個人が増えている。さらに、個人の買いを強固なものにするために、株を買った個人に思い切ったインセンティブを与えるような優遇策が求められる。

 27日の東証1部の売買代金は2兆2000億円台だったが、売買単価が急低下した点を考慮すれば、大商いだったと判断できる。これは個人を中心とした買いが多いことを示していると言えよう。
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