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NIKKEI 社説1 異常な株安・円高に迅速果敢な対応を
株安と円高の動きは常軌を逸している。27日の日経平均株価終値は7162円と、実に26年ぶりの安値をつけた。円相場は先週末に一時1ドル=90円台に急騰するなど独歩高の様相だ。政府は緊急市場安定化策の骨子を示したが、対応の鈍さが気になる。国際的な協調のもとで、市場の動乱を止める果敢な方策をもっと迅速に打ち出すべきだ。
米国に端を発した金融危機が日本経済にもたらす打撃は比較的小さいとみられてきた。日本を襲う市場の激動はまさに「傷の浅さ」が原因になった。高金利の新興国や中小国に集まった巨額の投資マネーが通貨不安などで一斉に巻き戻しを始めた。消去法の選択として、金融システム不安が相対的に小さい日本円に買いが猛然と集まっている。
円高は日本からの輸出を不利にする。企業の業績悪化懸念が台頭し、日本株が下げ止まらない。先週末には円相場が半日余りの間に14円もの幅で円高・ユーロ安に振れた。日経平均は27日まで4営業日で2140円も下げ、2003年4月のバブル後最安値を割り込んだ。
主要国通貨の間でこれほど激しい相場変動が起きるのは極めてまれだ。急激な株安も企業や消費者の心理を冷え込ませ、実体経済の悪化をさらに進めてしまう。
先週末の市場のパニックを止めるため、本来なら週明けの市場が開く前に対処策を公表するくらいの迅速さが不可欠で、実際に政府内でそうした動きはあった。ところが麻生太郎首相が中川昭一財務・金融担当相らに市場対策の策定を指示したのは27日午前になってからだった。明らかに後手に回っている。
市場安定化策の骨子には空売り規制の強化、金融機能強化法に基づく公的資金の注入枠の拡大などを盛り込んだ。銀行が保有株を投げ売りしないよう、02年に設立した銀行等保有株式取得機構が一時的に株を買い取る仕組みも復活させる方針だ。これ以外の政策も含め、市場の混乱阻止のために十分な手段を尽くしてほしい。予算措置や法改正が必要な項目もある。迅速に実現させるのが与野党共通の責務だ。
なにより、国際的な連携による為替相場の安定が不可欠だ。主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は円相場の過度の変動と、それによる経済・金融の安定への悪影響を「懸念している」とする緊急声明を出した。特定通貨への言及は異例である。時機をみて円売りの市場介入に踏み切るなど、市場への意思表示を一段と明確にすべきである。
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