TOPIX -3 @1,954
日経平均 -10円 @28,949円
5月の米消費者物価指数(CPI)は事前の市場予想を上回り、前年同期比5.0%上昇した。しかし、この上昇は昨年は新型コロナ感染拡大により消費が大きく落ち込んだ反動であり、また急激な消費の回復による一時的な供給不足が主因と分析される。そのため、6月15~16日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)で連邦準備制度理事会(FRB)が量的金融緩和政策の縮小を急ぐことなないだろうという見立てである。その結果、米長期金利が低下し、S&Pは史上最高値を更新した。しかし、日本株全般は上放れできずに横ばいが続いている。背景には、新型コロナウィルスのワクチン接種が進んではいるものの、新規感染者数がなかなか減少せず、首都圏をはじめとして人口が多い県ではまだ緊急事態宣言が続いていることがある。
株式市場の現在の最大の関心事は、米国の量的金融緩和政策がいつ縮小に転じる(=テーパリングの開始)かということである。一つのメインシナリオは、今年8月のジャクソンホール会議までにFRBはテーパリングの検討を表明し、来年度に入ってからそれを実際に開始するとの見方である。他方、FRBがそう簡単に金利が上昇するような政策変更をするのは難しいとの見方もある。現在、10年物国債の利回りはCPI上昇率よりもかなり低い状態(=インフレ)である。これは国債を大量発行して大規模財政出動をしている米政府にとっては都合が良い。なぜなら、負債の実質的価値がインフレによって減少することによって実質的な返済金額が減少するからだ。米政府の公式見解ではこの状態は2024年まで続くと予想している。中央銀行であるFRBと政府の意見や利害がいつも一致するわけではないが、今くらいのインフレ率は米政府にとっては寧ろ都合が良いという点は留意しておきたい。
日経平均の日足チャートを見ると、依然として横向きの60日移動平均線と上向きの10日移動平均線に挟まれた狭い範囲内での保ち合いが続いている。早晩、上下どちらかへ放れるはずだが材料不足で動けないようだ。
33業種中22業種が下げた。下落率トップ5は、銀行(1位)、不動産(2位)、その他金融(3位)、機械(4位)、非鉄金属(5位)となった。