TOPIX +34 @1,883
日経平均 +636円 @28,084円
米国株式相場が大きく反発した。日経平均は直前の3日で2,000円以上も急落していたし、25日移動平均線乖離率もマイナス6%超となっていため、本日は自律反発狙いの買いと空売りの買戻しも入混じって大きく反発した。上げ幅は一時700円を超えた。ただ、買戻しによる反発に過ぎないとも言える。緊急事態宣言の対象となる都道府県がさらに3つ増えたため、国内景気の本格的な回復にはまだ時間がかかりそうだ。
現在の株式相場の大きな懸念事項は2つある。一つは世界的な新型コロナウィルス感染であり、もう一つは米国の急激なインフレ率上昇とそれに伴う米長期金利の上昇である。この数日間は後者が原因で株式相場が急落した。ただ、インフレ率の上昇に対してマーケットは過剰反応をしている。インフレは大きく分けて2種類ある。一つ目は供給不足により原材料価格や人件費などが上昇することにより、供給側の原因で発生する「コストプッシュ・インレ」である。2つ目は景気が良すぎるために需要が大きくなりすぎて生産・供給能力を超えて、需要側の原因で起こる「デマンド・プル・インフレ」である。現在起こっているのは、前者の「コストプッシュ・インフレ」であり、米国のように供給能力が十分に高い先進国ではこの状態が長く続くことは想定しにくい。現在行われている失業給付の加算は9月6日で終了する予定である。それ以後は働きに出る労働者の数が増えるので雇用のボトルネックが解消される見通しである。
米FRBは現在、月に1,200億ドル(=13兆円)もの米国債と住宅ローン担保証券(RMBS)を購入してマネーを市場に供給している。しかし、いつか必ず縮小(テーパリング)がある。足元で観測されるインフレ率の上昇により、現在の市場の平均的な予想ではテーパリングのタイミングは2023年前半である。しかし、その時期が早まるのではないかと懸念し始めた投資家が増えてきて、少しヒステリックになったため株価が急落した。
日経平均の日足チャートを見ると、3日連続の長大陰線の後、ようやく反発した。ただ、2月16日から始まったボックス圏の下限である28,300円前後にはまだ戻っていない。他方、250日移動平均線を見るとしっかりと上向きであり、今回の急落は反落の始まりというよりも押し目の可能性の方が高いことを暗示している。
33業種中29業種が上げた。上昇率トップ5は、精密機器(1位)、その他金融(2位)、その他製品(3位)、陸運(4位)、金属製品(5位)となった。