TOPIX +6 @1,933
日経平均 +26円 @29,358円
緊急事態宣言の延長が決まり、国内経済のさらなる悪化は免れそうにない。だが、日本株は粘った。昨日大幅高となったが、本日も小幅だが続伸した。その背景に世界経済の主力エンジンの一つである米国の景気回復の力強さがある。5月6日に公表された週間の米新規失業保険申請件数が市場予想を下回り、ダウ工業株30種平均はまたしても史上最高値を更新しただけでなく、主要3株価指数が揃って上昇した。さらに、景気回復の力強さを反映して期待インフレ率が上昇し続けている。米景気回復を織り込みながら、鉄鋼、非鉄金属、海運などの景気敏感株が鮮明な回復基調にある。
期待インフレ率を見る代表的な指標はBEI(ブレーク・イーブン・インフレ率:固定利付債と物価連動債の利回りの差)である。10年物が5月5日に2.47%まで上昇し、2013年4月以来の高水準となった。期待インフレ率(米国・アメリカ・BEI)の推移とチャート・速報 (stock-marketdata.com)
なぜ、ここまでBEIが高まっているかと言うと主に2つの理由がある。一つ目は、ワクチン接種の普及が進み、経済活動が正常化に向っており、需要に供給が追い付いていないことである。2つ目は、米国のFRBは日本銀行と違い、法的にデュアル・マンデート(①最大限の雇用と②物価の安定の2つの使命)を負っているため、新型コロナによる景気悪化局面からの脱出を優先し、当面は現在の金融緩和政策を変更しないと見られることである。ただ、あまりに期待インフレ率が上昇すると、FRBは金融緩和の縮小、つまり、テーパリングを開始する可能性が高くなるため、株価が失速する恐れが出てくる。しかしし、現在までのところは、景気回復に伴う「良いインフレ」と見られている。現在は、失業保険の給付金が上乗せされているため、労働者の側は急いで働かなくても良いというインセンティブが発生するが、これは9月末には終わる。それ以降は働かざるを得ないので労働供給が増加して、現在の労働需給の逼迫は解消されると予想される。
日経平均の日足チャートを見ると、昨日からやや下向きの10日移動平均線の上に浮上しているが、水平方向に収斂した25日移動平均線と60日移動平均線の下に依然として沈んだままである。ボックス圏内での小動きであり、基調は横ばいである。
33業種中26業種が上げた。上昇率トップ5は、鉄鋼(1位)、海運(2位)、保険(3位)、鉱業(4位)、非鉄金属(5位)となった。