TOPIX +29 @1,927
日経平均 +519円 @29,331円
ダウ工業株30種平均は3日連続で上昇して史上最高値を更新した。米国をはじめとして世界の景気が回復するとの期待が高まってきた。この流れを受けて、日本株全般も上げた。日経平均の上げ幅は一時600円を超えた。5月11日には4都道府県に出ていた緊急事態宣言が終わるが、その延長の可能性が高まった。しかし、主に海外景気の回復を期待して日本株は上げているため、緊急事態宣言が延長されてもそれほど相場を下押ししないと株式市場は見ているようだ。
米国では確定申告の期間が例年1~4月中旬となっており、還付金は2~5月に支払われるため、5月までその資金が株式市場に流れ込んで株価を押し上げる。しかし、その後は還付金の流入がないため株価が下がるアナマリーが観測されてきた。ところが、今年は少し様子が違う。3月に可決されて1.9兆ドル(約200兆円)の追加経済対策には税控除も入っており、確定申告の申告期限が延長された。ということは、買いの賞味期限は6月まで続く可能性が高くなってきた。これには前例がある。新型コロナウィルス感染拡大により、昨年の申告期限は7月に延長され、7月末まで税還付が続いた。失業保険の給付とも重なり、8月末まで株価は上昇し、資金の株式市場への流入が止まった9月になって漸く株価は下落した。
米国の長期金利の動向は注意して監視する必要がある。日本の連休中に、イエレン米財務長官(もうFRB議長ではない)が金利上昇を容認する発言をした。これを嫌気して成長株が多いハイテク株は下落し、ナスダックも下落した。他方、金利上昇の影響が少ない米ダウ工業株30種平均は3日続伸して最高値を更新した。個人の信用買い残が3月末時点で8,225億ドルと過去最高水準にある。一方、5年物ブレーク・イーブン・インフレ率(=期待インフレ率の指標)が足元で年率2.68%まで上昇して来た。「名目金利=実質金利+期待インフレ率」なので、「実質金利=名目金利-期待インフレ率」となる。したがって、「名目金利<期待インフレ率」となると、つまり、名目金利と比べて期待インフレ率が大きくなると、実質金利はマイナスとなる。その結果、4月28日時点では、実質金利は-1.68%まで低下した。ここまで期待インフレ率が上昇しているのに、パウエルFRB議長が現在のままの超緩和金融政策をずっと継続するとは思えず、量的緩和の縮小、つまり、テーパリングを早晩開始するのではないかと株式市場は警戒している。
日経平均の日足チャートを見ると、やや下向きの10日移動平均線の上にやっと浮上してきた。しかし、2月16日を起点としたボックス圏内での動きであり、上か下かの方向性ははっきりしない。
33業種中32業種が上げた。上昇率トップ5は、鉄鋼(1位)、パルプ・紙(2位)、海運(3位)、鉱業(4位)、非鉄金属(5位)となった。