TOPIX +8 @1,959
日経平均 +59円 @29,768円
米FRBのパウエル議長が金融緩和政策を当面は続ける姿勢を示したため、米長期金利が1.70%を割り込み米長期金利の上昇が一服した。これによりハイテク株を中心に買いが優勢となりナスダックが上げた。この流れを受けて、本日の東京市場でもハイテク株の一角が買われて上昇し、日経平均は一時300円超まで上げて30,000円台を回復する場面もあった。しかし、主要企業の決算発表を控えて慎重になっており、高値では利食い売りに押された。
米議会ではアルケゴス問題で公聴会が開かれ、関係した各社の幹部を証人喚問しようという動きが出てきた。株式市場が懸念しているのは株式売買益への課税強化である。もともとバイデン大統領は選挙期間中に富裕層の株式売却益に4割程度課税する案を示していた。現在はヘッジファンドとは違い、富裕層の自己資産管理会社である「ファミリーオフィス」は情報開示が免除されているが、規制が強化されれば情報開示が義務付けられるかもしれない。もし、規制強化となれば、ヘッジファンドと同じ扱いとなり、四半期ごとにF13様式でSECの報告する義務を課せられる。さらに懸念されるのが規制の網が今回問題となった「株式スワップ」だけでなく、金融商品の「米」とも言えるオプションを含むデリバティブ全般に及ぶ可能性である。もし、そんなことになれば、金融商品の流動性が大きく低下して価格の乱高下が起きやすくなる。(以上、本日の「豊島逸夫の金のつぶやき」を要約)
日経平均の日足チャートを見ると、高値圏で長方形を描くようにその長方形のレンジ内で上下動を繰り返す「強気レクタングル」の様相を帯びてきた。未だに根強い業績回復見通しと新型コロナウィルス感染の再拡大、及び今年後半には業績改善がピークアウトするのではないかという懸念とがぶつかり合って売りと買いの圧力がほぼ拮抗している状態が続いている。必ずこの力の均衡はどこかで破れ、上下どちらかに放れることになるが、現時点ではそれがいつになるのかは誰にも分からない。いつどちらへ動いても対応できるように心と建玉の準備をしておくしかない。「治に居て乱を忘れず」である。
33業種中24業種が上げた。上昇率トップ5は、精密機器(1位)、海運(2位)、その他金融(3位)、電気・ガス(4位)、水産・農林(5位)となった。