TOPIX -29 @1,954
日経平均 -393円 @29,697円
米国株式相場は明るい経済指標が相次ぐ中、大きく上昇してダウ工業株30種平均とS&P500が史上最高値を更新した。米経済指標が改善すれば量的緩和の縮小(テーパリング)になるのではないかという懸念が高まり株式相場が崩れるとマーケットは懸念していた。しかし、そうはならずに大幅高となった。確かに3月の雇用統計では非農業部門の雇用者数が急回復した。しかし、失業率の改善は小幅だったことで、とりあえず4月中にテーパリングはないだろうとマーケットは読んだようだ。したがって、過剰流動性相場はまだ続くだろう。米国では来週から2021年1~3月期の決算発表が始まるが、主要500社の市場予想は20%を超える増益見通しである。結果的にこれ以上であればまだ上がるし、これ以下なら一旦売られるだろう。
米国株の大幅上昇を好感して買い先行で始まったが、日経平均は3営業日で既に900円超上げていて、且つ、30,000円の大台を回復したという達成感もあったため、利益確定売りが優勢となった。後場には一時400円超下げる場面があった。
アルケゴス・ショックでは遂に、クレディ・スイスが44億スイスフラン(約5,200億円)もの損失が生じると発表した。野村HDの2,200億円が可愛く感じる。クレディ・スイスは3月に経営破綻した英グリーンシル・キャピタルとの取引でもファンド閉鎖に追い込まれたばかりだ。アルケゴス・キャピタルとの取引では、ヘッジファンド出身のビル・ホワン氏の個人資産を運用する「ファミリーオフィス」相手に、クレディ・スイスは証券決済や融資を行っていた。これは、変動が激しい投資銀行業務から富裕層ビジネスへ比重を移そうという流れであり、理解はできる。しかし、アルケゴス・キャピタルが追証を実行できそうにないことを感じると、米ゴールドマン・サックスなど米系金融機関は3月下旬に逸早く担保を賢明にも強制的に売却処分した一方で、野村とクレディ・スイスは意思決定が遅れたため深手を負った。同じ日本人なので野村の意思決定が遅いのは理解できるが、クレディ・スイスもそうなのかと少し驚きを感じる。
日経平均の日足チャートを見ると、2日連続で窓を空けて「ニ空」となったが、「三空」とはならなかった。それで今日は叩き込みのような下げとなった。3月18日高値@30,485円の上値抵抗線を目前に跳ね返されており、売り線である「とびつき黒」に準じた動きとなった。昨年11月初旬から今年2月中旬までのような一本調子の上げはもう終わり、高値をなかなか更新できない横ばい相場となっている。
33業種中32業種が下げた。下落率トップ5は、鉱業(1位)、医薬品(2位)、銀行(3位)、空運(4位)、精密機器(5位)となった。