アルケゴス・ショックは一部の銘柄のみに限定された

優利加さん
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先週金曜日の米国株式相場は大幅上昇した(DJIA +453.40 @33,072.88, NASDAQ +161.05 @13,138.73)。ドル円為替レートは109 円台半ばの選手末比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証1部では、上昇銘柄数が1,225に対して、下落銘柄数は900となった。騰落レシオは137.10%。東証1部の売買代金は3兆7153億円。

TOPIX +9 @1,993
日経平均 +208円 @29,385円

米国株が大幅上昇した(ダウ工業株30種平均もSS&P500も史上最高値を更新した)流れを受けて、本日の日本株全般は買い優勢となった。日経平均は一時上げ幅を400円超まで拡大した。本日は3月期末の配当権利付き最終売買だったため配当取り狙いの買いが膨らんだ。

他方、米投資会社アルケゴス・キャピタルの500%近いレバレッジ取引解消に関連した金融機関の損失で相場が混乱するのではないかと警戒された。アルケゴス・キャピタルは巨額のマージンコールと200億ドル程度の持ち高や担保の投げ売りを余儀なくされたと報じられた。投資先の一つである米メディア大手のバイアコムCBSは昨年末から3月22日までの3か月で株価は3倍近く上昇していた。ところが3月22日にバイアコムが増資計画を発表すると株価が急落し始めた。それをきっかけにアルケゴスのポジションが急速に悪化し、バイアコムだけでなく他の銘柄も売らなくてはならなくなった。

アルケゴスは米国野村の顧客の1つであり、野村証券は20億ドル(2200億円)程度の損失(顧客への請求額)を抱えた可能性がある。これにより野村HDは16%強の急落となった。おそらく、アルケゴス・ショックは2007年のパリバ・ショック(2008年のリーマン・ショックの入り口となった)とは異なり、数日で収まるのではないだろうか。金融危機のときはサブプライムローン関連商品に投資・リスクが集中・蓄積していたが、現在はハイテク銘柄など特定の銘柄に人気が集中する「ハーディング現象」が起きている。家庭への現金給付が進んでおり、その一部は株式市場へ流れ込んでいる。さらに金融緩和政策により過剰流動性となっているためレバレッジをかけてでも投資する投資家が多い。ただ、レバレッジは諸刃の剣であり、相場の潮目が変わった途端に大きく逆回転する。

日経平均の日足チャートを見ると、25日移動平均線にギリギリ接するまで戻して来た。ここからが正念場である。一気に上放れすれば良いが、再び25日移動平均線の下に沈むと下方向への弾みが付くからだ。明日は権利落ちで下げるだろうが、その先1週間くらいの動きがどうなるか?

33業種中20業種が上げた。上昇率トップ5は、小売り(1位)、ゴム製品(2位)、機械(3位)、電気機器(4位)、化学(5位)となった。

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