「2点天井」のフォーメーションを形成直前

優利加さん
優利加さん
先週金曜日の米国株式相場は、ダウ工業株30種平均が大きく下げ、ナスダックは上げた(DJIA -234.33 @32,627.97, NASDAQ +99.07 @13,215.24)。ドル円為替レートは108円台後半での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証1部では、上昇銘柄数が908に対して、下落銘柄数は1,190となった。騰落レシオは126.53%。東証1部の売買代金は3兆338億円。

TOPIX -22 @1,990
日経平均 -618円 @29,174円

先週金曜日はダウ工業株30種平均が大きく下げた。米大手銀行は「補完的レバレッジ比率(SLR)」と呼ばれる資本規制の緩和措置を当初の予定通り3月末で終了するとFRBが発表したからである。この規制緩和措置により米大手銀行は米国債を保有しやすかったが、この規制緩和が終了する。規制が復活することで米大手銀行が米国債を売るため米長期金利の上昇が懸念された。実際に米国債10年物の利回りは1.7%まで上げた。東京市場では、長期金利の上昇は成長株の売りを誘った。これに加えて、先週末、日銀はETFの購入から日経平均型を除外すると発表したが、時差の関係で発表と同時にすぐに対応できたのはアジアのヘッジファンドだけであり、欧米系のヘッジファンドは出遅れて今日売りで反応した。悪い時には悪いことが重なるように、ルネサスエレクトロニクスの茨木県内の工場が火事になった。以前から米国の大寒波で自動車向け半導体は供給不足だったのが、さらに追い打ちをかけられ、完成車メーカーや自動車部品株が売られた。これら三重苦の結果、本日の日経平均は700円近く下げる場面があった。

海外コンテナ不足やナイロン原料高も進んでおり、日本の製造業、特に自動車産業にはコストが増加している。規制の復活により米大手銀行が米国債を大量に保有できなくなるが、米長期金利の上昇は日本の機関投資家など、海外の投資家にとって投資資産としての魅力が高まるため、早晩、米大手銀行の売りを完全に吸収するだろう。もう一つ気になることはエルドアン大統領の金融政策介入に抵抗してきた中央銀行総裁が更迭されたことでトルコ・リラが急落していることである。1ドル=8.1リラ台と約3カ月ぶりの安値となっている。トルコは新型コロナウィルスの世界的感染拡大により観光客が激減して外貨収入も大きく減少し、サービス収支が悪化している。自国通貨安と経常収支の悪化を防ぐためには自国金利を引き上げるのが定石だが、エルドアン大統領は景気を悪化させる金融引き締め政策がずっと気に入らなかった。

日経平均の日足チャートを見ると、10日移動平均線も25日移動平均線もあっさりと再び割り込んだ。後少し続落すれば「2点天井」のフォーメーションを形成し、その後戻っても売りに押されやすくなる。今週が正念場か。ただ、個別銘柄を見ていると、確かに日経平均に大きな影響を与える値がさ株は下げる銘柄が多いが、それ以外で業績見通しが良好な銘柄はほとんど下げていない、というかむしろじり高となっている。優利加塾で常時監視している2つのN株もR株もそのような銘柄である。

33業種中24業種が下げた。下落率トップ5は、輸送用機器(1位)、保険(2位)、機械(3位)、非鉄金属(4位)、電気機器(5位)となった。

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