木下 晃伸さんのブログ

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【投資脳*海外株】「倒産ブームこれから」宜進利の清算人

■みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
経済アナリスト、木下晃伸(きのした・てるのぶ)です。

■また、溜息すら出ないほどの下落を経験した日本株市場。
アジアでも同様の動きが見られています。

16日のアジア株式市場では、主要株価指数が大幅に続落
韓国総合指数は前日比9.4%安い1213.78。
さらに、インドSENSEXは2.1%安、
シンガポールST指数は5.3%安、香港ハンセン指数は4.8%安でした。

中国の上海総合指数も4.2%安い1909.94と
直近の安値を下回りそうな勢いです。


■世界中が恐慌に苦しむ中、勢い短期売買に走る向きもあるでしょう。
今はそれ以外に収益を上げる、というのは難しい局面です。

しかし、私は、こういった場面だからこそ、
“将来を見据えることができるか”という点が重要であると考えています。


■日本で初めてウォーレン・バフェットを紹介した、
三原淳雄先生は、「こういう局面だからこそ、バフェットの発想を見習え」
と熱く語っていらっしゃいました。

つまり、「恐慌の時こそ、好機である」という姿勢を持て、
ということでしょう。

バフェットは、アメリカンエクスプレスなど、
今株価が軒並み下落している企業の大株主。
しかし、それでも、慌てることなくじっくりと保有しています。

ゼネラルエレクトロニック(GE)にしろ、
ゴールドマン・サックス(GS)にしろ、
投資決断をしてからすでに大きく下落に転じているものの、
悠然としています。


■書店に行っても、恐慌を分析した本が並び、
なかには煽るような書籍も見当たります。

確かに、評論家はそれでいいのですが、
実践している人間は、「どこまで下落が続き」、
「どこが底になるのか」という命題を解いていく必要があります。

10月に入ってから、大きく外してしまっている以上、
大きなことは言えませんが、だからこそ、命題を解くために何が必要で、
何が足りないのか、徹底的に自分の分析内容を分解していくつもりです。


※本資料の利用については、
必ずプロフィール画面の重要事項(ディスクレーマー)をお読みいただいた上
ご利用ください。
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●【香港】「倒産ブームこれから」宜進利の清算人[経済]
●【中国】低迷の深セン不動産業、仲介業の4割倒産も[建設]
●【韓国】サムスン携帯、中東・アフリカで1千万台超[IT]

※ニュース提供/NNA(http://www.nna.jp/
著者により一部文章が削除、変更されるケースがございます。

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●【香港】「倒産ブームこれから」宜進利の清算人[経済]

事業再生を中心とした企業アドバイザリー業務を手がける
豪フェリエ・ホジソンの霍羲禹(ビンセント・フォック)取締役は
このほど、香港では今後数カ月に企業の倒産が相次ぐとの見通しを示した。
同社は最近相次いで経営破たんした時計製販大手の宜進利
(ピースマーク・ホールディングス)、水着・カジュアル衣料チェーンの
徳発集団国際の上場2社の臨時清算人を務めている。

霍取締役は、企業倒産の波はまだ始まったばかりだと指摘。
「本当の金融危機はまだ香港に来ていない。
今後数カ月は清算案件が集中するだろう」と予想した。
また、昨今の経済環境では破たん企業の事業を引き継ぐ
「ホワイトナイト」探しも難しくなったとして、
「運良くホワイトナイトが現れても、提示価格は厳しい」と述べた。

政府統計によると、1~8月の企業清算は395件と昨年並みだが、
9月の数字はまだ発表されていない。15日付明報が伝えた。
<香港>

【木下コメント】
世界的に、かつてないほどの変動幅で動く株価指数。
日経平均株価でいえば、1,000円単位で日々動く、
というのは異常以外の何物でもない。
しかし、異常と言っていても始まらない。
それが現実であれば対応策を考えねばならない。

たとえば、現実としてそれだけの変動が起こり、かつ、
上昇を帳消しにしてしまうほど下落するのであれば、
「現金」が最良の投資対象ということになるだろう。

それは否定しない。
どんな場面でも、最後には現物のマネーを持っている人間が強い。
一方で、投資家の悩みは、今保有している部分を損失覚悟で売却し、
現金化する必要があるのか、という点にある。

結論からいえば、私は、今は現金化する必要はなく、むしろ、
将来にわたって保有に足る株式に投資しているかどうかを
自分自身に問いかけることが必要だと考える。

新興市場は、今回の金融危機が長引くと考えたとしても、
今後期待される成長の前段階であることを考えれば、
「時がほとんどの病を癒す」と考えることができる。
仮にこれから2、3割の下落があるとしても、
10年後に再び2倍になる可能性を秘めているを信念を持てる投資家であれば、
なにも今現金化する必要はないと考える。


●【中国】低迷の深セン不動産業、仲介業の4割倒産も[建設]

香港の不動産仲介大手、中原地産(センタライン・プロパティーズ)の
深セン・香港研究センターによると、今年9月の同市の住宅取引の成約額は、
1平方メートル当たり1万1,721元(約17万5,300円)で前月比18%減少した。
昨年同期比の下げ幅は30%に達しており、
不動産仲介業者の4割が倒産に追い込まれたとの見方も出ている。
【広州・大野草太】

同月新たに販売を開始した新規住宅の販売率は、
軒並み3割程度にとどまり、1割を下回った住宅も少なくなかったという。
高級住宅は比較的好調だったものの、
その他の普通住宅の成約は引き続き落ち込んだ形で、同報告では、
10月の住宅価格はさらに下落する見通しと予測している。

こうした状況のなか、同市の不動産仲介業界も大きな打撃を受けている。
ある業界関係者によると、企業の規模にかかわらず
ほとんどが赤字となっており、
倒産した企業の数はすでに業界の4割に達するという。
また中小規模では、
1,000人以上いた従業員のうち900人以上をリストラした企業もあるという。

同市では、国内最高値を記録した昨年の8月から、
価格の下落とともに成約も減少し、市況の不調はすでに1年近くに及ぶ。
同市で上場する不動産大手の深セン市振業集団が、
このほど発表した第3四半期(7~9月)の業績でも、
純利益は昨年同期比で100.4%大きく減少しており、
極端に落ち込んだ深セン不動産業界を表したものとなっている。
<深セン>

【木下コメント】
今回の危機は、本来「非」貿易財である不動産が、
マネーのグローバル化を通じて貿易財として流通するようになった点が、
引き起こしたものと言える。

そのことは、昨年から分かっていたことであり、
だからこそ姉妹メールマガジン「投資脳のつくり方」では、
3月よりサブプライムローン問題に対しては「大きな問題になる」と伝え、
米NYダウに関しては、14,000ドルをピークに下落する、
と「日本の論点2008」(文藝春秋、当コラムは「27人のすごい議論」にも掲載)
で寄稿したように弱気派だった。

しかし、正直、サブプライムローンから、マネーバブル全体が崩壊し、
資本主義システムが揺らぐまでの破壊が起こるとは考えていなかった。
分析が甘かった。

ただ、中国は一味違う、とも考えられる。
それは、米国で見られた01年同時多発テロ以降の動きだ。
利下げと減税をセットにし、さらに公共投資を行うことで、
景気減速を抑えるどころか、驚異的な回復を引き起こした施策のことだ。

中国は、こうした施策をまだまだこれから本格化していくことができる。
内陸部は、政府の公共投資が次々と進んでいるという声も聞こえる。
世界の大不況を中国が
“最初に”乗り越える可能性が出てきている点を忘れてはいけない。


●【韓国】サムスン携帯、中東・アフリカで1千万台超[IT]

サムスン電子は15日、携帯電話のヒットモデル「E250」の
中東・アフリカ地域での累計販売台数が2006年12月の発売からこれまでに
1,000万台を突破したと明らかにした。
同社の携帯電話が単一地域で単一モデルが1,000万台を超えるのは初めて。

同製品はスリム型デザインにカメラや携帯音楽プレーヤー(MP3)など
多様な機能を搭載したグローバル戦略モデルで、
06年11月のドイツ発売から先月末までに全世界で3,100万台を販売した。

中東・アフリカ市場は特に成長率が高く、
サムスンは「E250」の好調を追い風にシェアを伸ばしている。
今年8月にはシェア21.3%を記録し、初めて20%台を突破。
中でも、トルコ市場では06年の14.6%から今年8月は41.1%と急成長している。
聯合ニュースなどが伝えた。

【木下コメント】
サムスン電子は自国韓国の売上比率がたった1%しかない。
日本では考えられないほどのグローバルカンパニーだ。

しかし、それは考えようによっては、
最初から世界を見据えている経営者としてはごく自然なことなのかもしれない。
というのは、韓国のGDPは約100兆円規模。
これは、全世界から考えれば、たった2%程度にすぎない。

一方で、これから伸びていく新興国は
BRICs4カ国で700兆円を超える規模であるし、さらに、
続くネクスト11などを含めれば、米国、欧州に匹敵する第3の極が出来上がる。
ここを狙っていくのは至極当然だろう。

米国一極集中が、今回の金融恐慌によって崩れ去ろうとしている中、
第3の極を早くに抑えた企業が、恐慌を乗り越えられる。
恐慌の真っただ中にいると見えないことが、
いずれ明らかな形となって表れ始める時、
サムスンほど注目しておかなければならない会社はあまり見当たらない。


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 編集後記
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●悩み

香港中文大学がこのほどまとめた「市民の香港経済現況評価」調査によると、
9月は、市民の消費意欲を示す消費者信頼感指数が
2003年の新型肺炎SARS流行以来最低水準になったことが分かりました。

株価は先行きを見通す、とはよく聞く言葉ですが、
私は株価の下落が先行きを悪化させる、
と考えるほうが妥当なのではないか、と数年前から考えています。

世界中の消費者がいきなり財布のひもを締めるという、
私たちが初めて経験するであろう事態に、株価はこれからどう反応していくのか。

やはり、頭の中には、「さらに2割、3割下落する」というシナリオも考えて
おく必要はあると思います。その対応策は、手元にある現金を大事にする、
ということしかありません。
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