「赤三兵先詰まり」の翌日に上放れ陰線に上ひげ付き

優利加さん
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昨日の米国株式相場はダウ平均株価が大幅上昇した(DJIA +834.57 @29,157.97, NASDAQ -181.45 @11,713.78)。ドル円為替レートは104円台後半の前日比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証1部では、上昇銘柄数が1,337に対して、下落銘柄数は788となった。騰落レシオは93.09%。東証1部の売買代金は4兆746億円。

TOPIX +19 @1,701
日経平均 +66円 @24,906円

米製薬大手のファイザーが開発中の新型コロナウィルスのワクチンで予防に高い有効性を示すデータを発表した。ワクチンは治験で90%を超える予防効果が認められたという。ダウ平均株価は一時1,610ドルも急上昇したが、終値では834ドル高となった。ただ、ワクチンが普及すれば景気が回復すると予想されることから景気敏感株は買われ、逆に在宅勤務や巣籠消費で上げて来たネットフリックやZoomをはじめとする主力ハイテク株は売られた。この流れを受けて、ワクチンが実用化されて世界中に普及すれば世界経済が本格的に回復に向かうと期待され、日経平均は前場で一時400円超上げたが、心理的な節目となる25,000円を達成すると成長株を中心に利益確定売りが優勢となって押し戻された。日経平均は11月に入ってから昨日までに1,862円も上げたので、自然な動きではある。

ワクチンへの過剰な期待は控えたい。量産や輸送を考えると急速な普及は期待できないし、思わぬ副作用が大きな問題となるかもしれない。新型コロナの感染拡大で変化した消費者の行動はそう簡単には元には戻らないだろう。そのため企業業績の回復は期待されるほど早くないはずだ。

バイデン新政権の下で大規模な経済刺激策が実施されるだろう。すると長期金利は上昇し、グロース株ほど株価が下がりやすくなる。なぜか?それは理論株価のしくみにある。グロース株ほど将来のキャッシュフローがより成長してより大きくなり理論株価に与える影響が大きくなる。そのキャッシュフローを割り引く割引率の基礎である長期金利が上昇するので割引率も大きくなり、割り算の分母が大きくなることで現在価値が小さくなり、その結果、理論株価を下げるからである。他方、米長期金利の上昇はドル高・円安となり易く、日本株全般にとってはプラスの力が働く。

日経平均の日足チャートを見ると、昨日の時点で「赤三兵先詰まり」となっていたが、本日は上放れて寄り付いた後は失速して上ひげを引いた陰線で終えた。上値が非常に重くなった明確な兆候である。暫くは調整があると見ておきたい。

33業種中26業種が上げた。上昇率トップ5は、空運(1位)、陸運(2位)、鉱業(3位)、不動産(4位)、鉄鋼(5位)となった。

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