TOPIX -18 @1,620
日経平均 -165 @23,474円
新型コロナウイルスのワクチン開発に対する期待は大きいが、市場に出てくる時期がどれだけ早いのか遅いのか、見方が二転三転して不透明感が増している。それに伴い、世界景気の回復も鈍くなるとの懸念が高まり株価を下げた。さらに円相場が円高・ドル安方向へ動いたことも日本株全般が下げる要因の一つとなった。米大統領選候補者の討論会を控えて大口投資家は様子見姿勢を続けている。株式市場は薄商いが続いていて、東証1部の売買代金は9営業日連続で2兆円を割り込んでいる。
ちょっと不思議なことが起こっている。米債券市場で米10年物国債の利回りが0.82%まで上昇したが、円相場は1ドル=104円台半ばまで円高・ドル安が進んだ。普通なら金利が高くなったドルが買われて円安・ドル高になるはずだが、逆に動いた。背景をおさらいしておこう。マーケットはどうやらバイデン政権誕生の確率が高いと見ているようだ。バイデン政権が始まれば、1兆ドル規模のグリーンエネルギー関連主体の インフラ投資が行われる。そのために財源として国債が増発され、価格は下がり、利回り(=金利)が上がると見ているわけである。これで長期金利が上がる背景は理解できる。ではなぜ円高・ドル安になるのか?リスクオン・リスクオフという相場の考え方では、ドルは「低リスク」通貨とみなされている。リスオン時はリスクを嫌い「低リスク」通貨であるドルが買われて「高リスク」である株式や新興国通貨が売られる。反対にリスオフ時は、「高リスク」である株式やドル以外の通貨が買われる傾向がある。現在はどちらかと言えばリスクオフ時であり、米国が追加財政出動で景気が回復するとなれば、ますますリスクオフムードが高まる。すると「低リスク」であるドルを売り、「高リスク」である株式や他の通貨を買おうとする動きが強まりやすい。これがドル金利が上昇したのにドル安となった背景の一つの解釈である。
日経平均の日足チャートを見ると、10日移動平均線をわずかに割り込んだが、やや上向きの25日移動平均線の上に留まっている。高値圏での保ち合い期間が4カ月を超えてきた。さらに上がると期待して買ったのに上がらないとその内痺れを切らして手仕舞い売りするトレーダーが多くなる。そこへ何らかの大きなショックが重なると短期間で大きな調整が起こりやすくなる。
33業種中30業種が下げた。下落率トップ5は、空運(1位)、医薬品(2位)、電気・ガス(1位)、小売り(3位)、鉱業(4位)、陸運(5位)となった。