G7は不安を払拭できるか

10日の日経平均は、8276.43円(881.06円安)。2003年5月以来の安値。下げ率は9.62%。一時8115.41まであり、下げ幅は1000円を突破、先物にはサーキットブレーカまで発動される暴落。暴落の3位記録を更新。7日間で3000円を超す下げとなっており、どうにも下げがとまらない。2003年4月の安値7381を守れるかどうかが問題だが、ボリンジャーバンドは、月足でもマイナス3σ近辺に位置しており、バンドが大きく開いていて、ますます下げの勢いがついている有様。日足のMACDもがくんとマイナス圏で下降中。市場の動きからはとまる兆候がみえない。G7などで劇的な対策がでないと、さらに崩落が待っていると思わねばならない。NYよりも日本の下落が大きいのは、繰り返し書いているように、NYの下げが、実態経済面と、為替と、株の需給から増幅されて東京市場に影響を及ぼすからではないかと思われる。

一方震源地のNYは、10日一時700ドル近く下げたが、その後戻し一時プラスに転じたものの結局マイナス。8451.19(-128。0)率では1.49%の下げである。長い下ひげをつけたので、目先、下げ止まる可能性がでてきたが、小幅でもまだ陰線を引いており、はっきりした下げ止まりとはとてもいえない。G7次第では失望売りをする、という姿勢が感じられる。またたとえG7の内容を好感してかなり大きな陽線がたっても、日足の転換線は9859、基準線は10078で、今の水準より1000ドル、1600ドルも上であり、はるかに遠い。日足ベースでもトレンド転換するには少なくともこの水準までもどしてこないといけない。ボリンジャーも現状はマイナス3σの近辺で大きくバンドが広がって強い下げの勢いを示している。通常のバンドの下限であるマイナス2σの9289すら現状よりかなり上で、TPは10721。TPを上抜けないと下向きに開くバンドは変わってこない。日足のMACDも、マイナス圏を急降下している。G7の内容を好感して、相当に戻したとしても、目先の戻りをとるような筋は別として、このあたりの水準を上に抜けてこないと、戻り売りが厳しく、中長期的な買いを入れるのはなかなか難しい。GM(昨日誤ってGEと書いてしまった。お詫びしたい)が倒産寸前の株価まできているように、問題は金融だけではなくなっており、金融が安定しても、景気実態の底打ちが確認できるまではトレンド転換は望み薄であろう。急落のあと数ヶ月は手をだすな、という格言は、十分かみ締めておきたい。

ドル円は97円台まであったが現在は100.65。しかしドル安のトレンド転換のためには、日足の転換線103.02、基準線104.08まで戻してこないといけない。現状からは相当に距離があり、ドル安トレンドはなお強力である。日足のボリンジャーも、現状はドル安円高の方向にマイナス3σまできており、ドル安の勢いは、統計的なレンジをふりきってしまっている形。TPは105.27で、これを上に抜けないとバンドの広がりがとまらない。劇的なことがおこらないと、こちらもトレンドは変わらない状況だ。

 東京は、NYの下げ、円高、そして大和生命の破綻という国内の金融不安が加わり、純粋な自律反発程度以外、積極的に上げる要素は残念ながら皆無だ。銀行間の国際的な短期資金の市場も、依然機能不全の状態のようだ。協調利下げで団結した中央銀行の努力を嘲笑するような動きである。東京市場のPBRは1倍前後ということで、解散価値のあたりまできており、バリューを全く無視した動きとなっていると思われるが、信用不安が雪だるま式に連鎖的に拡大し、市場の内部要因では、もはや解決が困難になっているようにみえる。政府の介入でとめるしか手立てはなさそうだ。これに対し、G7の声明がさきほどでたようだが、どうやら具体的措置への言及はないとのこと。これから速やかにG7が、決意を実行に移し、実際に国際的に協調した公的資金注入をできるかどうか、それが効果的な規模と仕方かでおこなわれるかどうかが焦眉の課題だ。ブッシュ大統領が直接乗り出してアメリカを含む、国際協調にもとづく公的資金の注入の具体策がまとめられるはずだという期待があったので、そうした具体的プランが十分な規模ででてこないと、失望売りになる危険がついてまわる。ブッシュ大統領には、もう国民をまとめるような力があるとは思えないし、アメリカ政府が財政が破綻するような資金を提供できるとも思えない。国際的な奉加帳をまわして資金をつのることになるのではないかと思われるが、それが本当に集まるかどうかもわからない。さらに金融がそこそこ安定しても、不況突入はこのままでは避けられない。そうした不安を一気に払拭するような動きを早急につくってほしいものだが、どうなるかまだ半信半疑というところだ。
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