「東京をはじめ、過去最多の新型コロナウイルス感染者数を記録していることについて、小池百合子都知事に重大な責任がある」と指摘する記事が、7月25日配信の『夕刊フジ』に掲載された。タイトルは「小池都知事“無策”で感染者数増加『全国拡大は東京起点の疑い』中原英臣氏が指摘」というもので、まず西武学園医学技術専門学校東京校校長で医学博士の中原英臣氏の話を以下のように紹介したうえで、「(小池知事は)『東京問題』をみずから解決する気はないのか」と結んでいた。「『東京アラート』も都知事選を前に解除され、大丈夫だと言っているうちに感染者が急増してしまった」「東京から地方へ移動した後、感染が確認される事例が増えており、全国的な感染拡大は東京が起点であると言わざるを得ない」(中原氏)
菅義偉官房長官が北海道講演で口にした「東京問題」は、「小池百合子・都知事問題」だったのだ。都知事選対策を優先してコロナ対応を後回しにした結果、まず都内で過去最多の感染者を記録、そして第二波として全国に広まってしまったということだ。「なぜ東京アラートの指標をなくしたのか?」の問いは無視都知事選投開票2日前の、7月3日の都知事会見。この日も私は指名されなかったので、会見終了直後、TBSの金平茂紀記者に続いて恒例の声かけ質問をした。
私が会見終了後に“声かけ質問”をしているのには訳がある。小池知事は、わずか40分前後の会見の中で、答えやすい質問をしてくれる記者ばかりを指名する。そのため、私はずっと会見で挙手しているにもかかわらず、30回以上会見で指名されないままでいるからだ(一連の“声かけ質問”や直撃取材の内容については、8月7日発売の『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』で詳細に伝えている)。この日は、私よりも先に金平記者が会見への不満を口にした。
金平記者:知事、仲間うちだけ当てないでくださいよ。
小池知事:お顔が見えませんので、失礼しました。
金平記者:ちょっといいですか。
小池知事:(再質問は受けつけず、無言のまま立ち去っていく)
横田:知事、選挙優先で(外出自粛要請の)解除を急いだのではないですか。形だけの「東京アラート」が問題だったのではないですか?私の質問は、レインボーブリッジなどを赤に染める「東京アラート」をなぜ点滅させなかったのかを問い質すものだった。『夕刊フジ』の記事でコメントしていた中原氏と、問題意識を共有していたともいえる。小池知事は「1日あたりの新たな感染者が20人以上」「感染経路不明の割合が50%以上」「週単位の感染者増加比が1以上」という東京アラートを解除するか否かの指標を作った。それなのに、途中で自ら数値目標による指標を削除してしまっていたのだ。感染拡大の兆候を隠蔽・改竄した
ちなみに都民に警戒を呼びかける東京アラートが初めて発動されたのは、感染者が34人となった6月2日のこと。そして2期目の都知事選立候補を表明した前日の6月11日に東京アラートを解除。都内の休業要請の目安となるロードマップも「ステップ3」に戻して外出自粛要請のレベルを緩めた。「小池都政のコロナ対策が成功して第一波を抑え込んだ」と印象づけたうえで、2期目を目指すと出馬表明したのだ。しかし都政ウオッチャーは、この“小池劇場”を冷ややかに見ていた。「感染者数が減って東京アラートが解除されたまま、都知事選の告示日(6月18日)を迎えようとしたが、また感染者数が増加に転じてしまった。しかし、いったん解除した東京アラートが再び赤に戻ると、『小池都政のコロナ対策は不十分だった』と批判されかねない。そこで小池知事は、数値目標をなくして東京アラートが再点滅しないようにしたのは間違いない。『何のための東京アラートなのか』という批判が他候補から出たのは当然でした」
まさに小池知事は、感染拡大の兆候を隠蔽・改竄したに等しい。「選挙(自分)ファースト・都民二の次」と批判されても仕方がない。本来ならいったん緩めたコロナ対策を再び強化すべき危うい時期だったというのに、東京アラート解除をした状態を放置した。このせいで、都民の間に「外出自粛を緩めても大丈夫」という気の緩みが広がったのは間違いない。この都知事選中の甘い対応が投開票前の感染者数100人超えを招き、小池知事再選後には過去最高の感染者数を何度も更新することになったのだ。
感染拡大の責任を棚上げし、「都民の努力不足」に責任転嫁!?
2日連続で感染者が240人を超えた7月10日、小池知事が2期目初の定例会見でどんな釈明をするのかが注目されたが、ここで口にしたのは「都民の努力不足」と言わんばかりの責任転嫁だった。「東京問題」を解決する意欲が感じられない小池知事の弁明は、次の通りだ。「みなさま方に改めて申し上げますと、いま出ている数字もやはり2週間前の一人ひとりの行動がこのような形で数字になって表れているということは、ずっと変わらないわけですね」
「みなさんが気をつけていただき、経営者としても気をつけていただいて、新しい日常を作っていくという、その過程でございます」本当なら「東京アラート」を赤に再点滅させて都民一人ひとりと警戒心を共有するべきだったのに、それをしなかった自らの職務怠慢を棚に上げたのだ。「大阪モデル」以下の“欠陥商品”でしかなかった。