9日の日経平均は、9157.49(-45.83)と小幅下落。協調利下げにもかかわらず、NYが下落。日経平均は一時あがったが、力尽きて途中から下落、結局マイナスになった。日足の形は上髭が非常に長く上値の重さが目立つ。まだ下げどまりの兆候はでていない。雲の下限を大きくして抜け、2003年の11月の安値9614を割っているので、2003年4月の安値7603を試す展開になる。
NYは、8579.19(-678.91)と再び暴落。底堅く展開していたが、引けにかけてGEの決算への懸念がでてGE株が30%を越えるなど優良企業も売られ急落する展開となった。月足の雲の下限もついに下抜けているため、この水準をすぐ回復できないと、下値のめどがなくなり、2003年3月の安値7416、2002年10月の安値7197を試してゆく展開となる。
為替は再び100円割れ。日足週足月足とも雲を下抜け、基準線、転換線を破っており、いずれもドル安円高傾向が鮮明。現在は99.66と、月足3月の終値である99.61の前後で推移しているが、これを下に抜けると、3月の安値95.77を試す展開となるであろう。
NYが下げ止まらず、円高のほうもどこまで行くかわからなくなっており、東京にはいい材料はまったくない。下げが下げをよぶ暴落の過程ではヴァリュー系の指標は機能しなくなるので、値ごろで買うと裏切られる可能性が高い。大きな下ひげをつけて大陽線をつけて、反転し始めるまでは、買い方は動きようだないだろう。結局、協調利下げは、株価を下げ止まることはできなかった。G7が公的資金を注入することをせがんでいる相場ともいえるかもしれない。
ポールソン長官は、公的資金注入は今の法的枠組みでできるという立場を表明しているが、日本の例でも、信用不安の連鎖が起きてしまうと、公的資金を注入しても額が足らないと、安定感がでてこない。日本の例を参考にとかいわれているが、今回の危機は少し様相が異なっている。日本の単純な不動産バブルとは異なり、今回の信用不安は、複雑なデリバテイブのおかげで損失が不透明だということがまず問題で、どこまで資金を注入すればいいのか、ちっとも見えない。これを透明化しないと不安は解消できないだろう。そしてその間にアメリカの財政、貿易収支の赤字が膨らんで、米国債がもたなくなる危険も考えられる。金利が低くても銀行に金融資産をせっせとあずけている日本と違い、消費が貯蓄をうわまわる勢いのアメリカでは、国内に資金がなく、海外からの資金を吸収しないと、米国債を吸収できなくなる。言ってしまえば、日本は、労働分配率を下げ、金利収入をとりあげて、家計に損失を押し付け、家計の資産をとりあげて、産業と金融をなんとか回復させてきたのではないかと思われるが、労働者が発言力をもち家計部門に余裕がないアメリカでは同じようにはなかなかいかない。しかも危機はグローバル化しており、アメリカ以外の国で、下手をすると国家自体が財政破綻するようなところがでかねない状況だ。G7への淡い期待がまだあるだけに、とりあえずG7が総力をあげて、損失の透明化、公的資金の注入で金融システムを守り、景気対策を実施するといった断固として決意と具体策を示さないと、危機は一層深くなる危険がある。G7は、百年に一度の重大な局面に直面している。