協調利下げでもNY下落

8日の日経平均は9203.32円(952.58円安)の暴落。値下がり率9.38%は、歴代3位。後場から、先物に引きずられて急落したが、ほとんど下ひげのないべた下げ。移動平均からの乖離率は記録的な水準(例えば13週移動平均から25%乖離、6ヶ月移動平均からは26%)に達しており、オーバーシュートぎみではないかとも考えられる。だが下げどまりの兆候はでておらず、もはや通常の指標が役に立たなくなってきている状況だ。ボリンジャーも日足はマイナス3σを下抜け、週足月足もマイナス3σ近辺で、下げの勢いは強い。2003年の11月の安値9614を割り込んだので、定義上は、2003年4月の安値7831を試しにゆくところと考えざるを得ない。
 
 東京の急落を受け、欧州株が急落し、イギリスが銀行への公的資金の注入を決定。各国の協調利下げが発表された。イギリスはなんとか小幅下げで下げ止まったものの、NYダウは昨日の終値をはさんで上下し、結局9258.10で189.01と2%近い下げで終わった。目先でも下げ基調はかわらず。月足雲の下限9433を割りこみ、遅行線が雲の下限とぶつかる9311も破られたので、下値のめどがなくなりつつある。日経平均と同じくボリンジャーは、日足はマイナス3σを下に突き抜け、週足、月足でもマイナス3σ近辺。トレンドが下向きなので、大きな陽線がでないと下げ止まりにはならないが、今のところはまだ底はみえていない。FRBがCPを扱って民間会社に資金を供給するとか、協調利下げとか必死に対策をうってはいるが、底打ちがみられない。

ドル円は100円割れ。ドル安に基調転換してから速度が速い。3月の月足の終わり値ベースの安値99.31近辺でとまっているが、下げ止まりのサインはなく、さらにドルが下げる可能性が高い。95.77という最安値に挑戦する動きになると思われる。105円程度を想定している輸出産業にとっては打撃である。

東京は、NYの倍も率で下げていることになるが、外需頼みの日本経済、外国人投資家頼みの脆弱な日本市場では、アメリカの金融不安、景気後退は、輸出企業の最大の市場の縮小と円高による採算の悪化に加え、ヘッジファンドの解約などの外国人投資家の資金の引き上げというトリプルパンチとなる。これまでおそらくドル資金の還流の影響からか小康状態を保っていた為替が、節目を越えて一気にドル安円高に動き出したため、株も暴力的な下げになっていると思われる。協調利上げはすでに予想されていたのか、その効果は限定的であり、しかも利下げに参加しない円には円高要因となってしまう。日本は比較的健全だとかいう向きがあるが、確かに金融に限っては、複雑な金融派生商品を扱う力がなかったために傷は浅いかもしれないけれども、産業も市場も、アメリカ頼みの日本の足元は決して強いとはいえない。今回の暴落はそれを思い知らせている。週末のG7あたりで、アメリカはじめ世界的に公的資金を投入して金融機関を救うといった劇的な政策でもでないと、ムードは変わらないのではないだろうか。
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