町角保険論②
今年は、つひに暑中見舞いも、残暑見舞いも一通も届かなかった。ま、ディラーとか、ドラッグ・ストアとかの下心DMは、届いたけどね。
それにしても、驚くのは、いつのまにか、郵便局って保険代理店になってたんだ。おおきなポスターで『郵便局の自動車保険』とうたってある。
よしたがよひ(ダブル・エクスクラメーション・マーク)その訳は、後述。
不正販売・事例研究その②
郵便局員・山田太郎「一郎さん。癌は、いまや日本人の二人に一人がなる病気なんです。早期発見・早期治療で、死ななくてもよい病気なんです(医者でもなひくせに、よく言ふよな。)。
太郎 「さらに、保険も日進月歩で、内容は、どんどん良くなり、さらにガン保険の保険料も、加入者が増えたり、金融工学の進歩で、だんだんとお安くなってゆくのです(いーや、とも言えなひなぁ。たしかにガン保険は、さふかもしれなひが、一般論として、金利が下がると、保険料って、上がるんだよね)。」
ここまで附けて、ぶっちゃけた話。うゑのセールス・トークが郵便局員に出来る訳がなひ。ノルマがまわって来て、嫌々のお願いセールスに決まってらぁ。
ミッション・ステートメント(社会的使命感の陳述)がなひ。
せひぜいが、ガンになったとき、お金がおりて助かりますよ、ぐらひか。それでも、
一郎「よーし!いまもふ、お金も払っちゃうぞ」
太郎「い~え その、お代はいただかなくても結構です。お客様が、お持ちの郵貯の口座から差し引かせてもらふキャッシュレスの『転換』制度を使ひますから。」
「では、御捺印と御署名を、お願いします。」
ありがとうございましたと礼を述べると、太郎は、バイクにまたがると、『やれやれ、これでノルマを一件こなせたわひ』とバイクにまたがると郵便局へと帰っていった。メデタシ、メデタシとはならなひだなぁ。
やがて夏は、おはり、秋になって、太郎のもとへと、いっぽんの電話が、かかってきたのです。中村一郎の奥方、中村花子です。
「ちょっと、これって、おかしいんぢゃないの。保険料が二重払いになってるぢゃなひの。8月で、まえのアヒル・ガン保険からガン・モドキ保険に移ったぢゃないの。それならば、アヒル保険は7月で支払おわりのはずよ。」
「いえ、奥様それはですね。『転換』といはれるものです。アヒル保険は、11月まで続きます。これはガンモドキ保険は、加入後3か月待機するのです。中村一郎さんには、ちゃんと説明しました(嘘つき!成約を急いで、説明を省いた。)。」
「ゑ~っ!」
そして、家計を預かる主婦には、この手の嘘が通じようもなひ。
ここで、告白すると、町角保険屋さんをやっていたボクにとっては、自責の念で、いっぱいだ。
損保出身のボクが、いちばん当たったケースは自動車保険の月払い。當時、運送會社なんどの団体保険がメインだったボクは会社の給料から、自動車保険を天引かせて、もらっていた。
ところが、當時は、まだまだ貨物運転手(いま貨物運転士)さんは、ひっぱりだこで、會社を変わる人が多かった。
その場合、會社を辞めた時点で給料がストップするわけだから、最後の給料から、3か月分の自動車保険料を天引かせてもらふ。
給料天引きの場合、たとえば田中康夫運転手が、大和運輸の団体自動車保険に10月1日加入した場合、最初の引き去りは歳を越した新年1月分給料となります。
つまり、電気料金や水道料とおなじ、後払い方式。
こんど移った運送会社に団体自動車保険がなひ場合、當時は、頭金として2か月分貰います(前払い方式)。
つまり田中康夫運転手は、都合5か月分の自動車保険料の支払いがあります。
ひと月3500円とすれば、3500円×5か月分保険料=17500円
康夫君は、怒るぞー!説明義務違反だぁ~っ!!!
この前の契約を解約して、新規に契約を結ぶ手続きを『損害保険の中途更改』と言います。やっぱ保険期間中の解約は、損が出やすいなぁ。
康夫君は転社の月は、實質は2倍の自動車保険料を払うんだ(ま、たしかに5か月分払うんだけど、これは後払いから、前払いに転じたため)。解約に日割りは効かない。
総じて、保険の転換は、損だな。切ったり、繋いだりには、向かなひ金融商品だ。やっぱ解約は、契約法の『法の精神」(契約守らるべし。)が効いてしまふ。大袈裟に言ふと、顧客に一種のペナルティが掛かってしまふ。
ま、事例②に関しては、ボクは若干同情的ですけど、それにしても不正販売10万件は、・・・・・驚かざるをゑなひ。つづく。