なつかしい神戸 新開地

ゴルゴダの丘さん
ゴルゴダの丘さん

もう何十年も前の話で、今の新開地はどうなっているかは知らない。


僕が、独身で彼女もいないころの話。


新開地という町は、庶民的で男にとって楽しいところでした。


通りを歩いているとつぼ焼きの美味しそうな匂がして、つい立ち止まって長椅子にすわって注文したり。

また、サウナでは氷風呂があって大きな四角い氷がプカプカ浮いているのです。正月にはお雑煮のサービスなどもありました。


ぼくや後輩はカラオケが好きで、なじみのスナックによく行っていました。

得意の演歌を、、、、後輩は、小林旭などを歌たりで。


そんなあるとき

いつものように水割りを片手にしてワイワイやっているとき

4~5人のダブルの背広を着た人たちが入ってきました。

店は7割ぐらいのお客で、この集団は、全員すわれませんでした。


彼らの会話


『まだおじきは来てないな!』

『兄貴、外で待っています。』

『いいんだよ、中におれ!』

『いいえ、外で待っています。』


この会話がお店の他のお客に聞こえたからか、みんなそろそろと出ていきました。残ったのは、俺たち2人とこの集団。


独身でお金もない俺たちは、失うものもないし、怖くもなかったので、

マイクを独占していました。

そんな中で、このグループのリーダー的な人が、『兄ちゃん、うちの若いもんにも歌わせてやってくれ』と言われ、マイクをゆずったりしていたころ

 

おじきがやってきたのです。

外にいた2人も後からついてきました。


そのおじきは、ぼくらと顔見知りのひとでぼくもよく話をしていたひとでした。

短大へいっている娘さんの話をするときは目じりも下がるおとなしそうな紳士でした。

このグループは、このあと三宮へ飲みに出ていきました。





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