kouboudaisiさんのブログ

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眼横鼻直(げんのうびちょく)

誰の顔にも、目は横に、鼻は縦にまっすぐついている。
曹洞宗の道元禅師の言った言葉です。
一生懸命励めば、仕事も勉学も進む、人に尽くせば心地よい満足感が得られ、やがて自分も人に支えられるようになる。
道元は南宋に留学するエリート僧でした。阿倍仲麻呂、弓削の道鏡、伝教大師最澄、弘法大師空海等は、荒れ狂う日本海を渡って中国まで行った当時の日本では期待を一身に担ったエリート層です。
ところが道元は、7年におよぶ南宋の留学生活からなにを持ち帰ったのだろうと期待に目を輝かせる人々に「眼横鼻直」と一声を放ち、さらに「空手にして郷に還る。所似一豪の仏法もなし」といってのけたのです。
「私は、目は横に、鼻はまっすぐについているということを修得してきました。ですから、空手で帰ってきました。みやげ話など、仏法とはまったく関係がないものです。」
道元は南宋の寧波の港についてまだ上陸もしていないある日に、船に干し椎茸を買いに来た一人の老僧に出会いました。浙江省・阿育王山公利寺の典座(てんぞ)で、修行僧の食事をつくる調理師役です。
道元はその老僧を引き止め、話を聞き出そうとしました。阿育王山公利寺では、どんな経典を読んだり、公案を考えたり、座禅をする修行がどのようにできるのかと尋ねました。
すると、老僧は、けげんな顔をしてこう言ったそうです。
「異国の好青年よ、あなたはまだ仏道のなんたるかを分かっていない。私は僧堂の食事をつくることで、日々修行をしているのです。」
そして。さらにこう言ったそうです。
「偏界かつて蔵(かく)さず」
(宇宙のあらゆる現象がすべて真理なのだ。今生きている場、なすべきことにこそ真理が含まれている。)
ここから道元の修行が始まったのです。


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