19日のNYダウは11388.44(+368.75)と大幅反発となった。不良債権処理の機構をつくる報道がでたことで、金融不安が一気に後退した。水準としては、日足の転換線、基準線を抜け、雲の下限11455に頭をつっこんで上げたが跳ね返された形だ。とはいえ、大きな陽線で、ネックラインになっている大きく下げた15日の高値11416を、ざら場では抜いた。ただし終値ではわずかに届かなかった。週足も、異様に長い下ひげをつけて、転換線11163を上抜けた。ただし週足基準線11798はまだ上にあり、9月最初からの上値の抵抗ライン近辺でとまっている形でこちらはまだリバウンドの域。月足もこのままいけば大きな下ひげを描くが、月足自体はまだ下向き転換線、基準線の下。MACDは日足週足ともマイナスだが、日足はマイナス圏ながら上昇しはじめている。ボリンジャーでは、日足はマイナス2σからTPを回復した。週足もTPにまで戻しバンドが急速に狭まって転換を示唆している。
つまり日足では一応反転し目先上昇局面とみられ、週足も戻りに入った兆候があるものの、まだ週足、月足では、はっきりとした基調転換とはなっていない。11800水準あたりまで、もうひとふんばりほしいところである。
ドル円も大きくドル高に戻した。日足転換線106.35を一気に抜け、雲の下限107.12、基準線107.14も抜けて雲の中を上昇中。週足でも、基準線104.43、雲の下限104.43を上に抜けて、転換線107.14を少し抜いたあたりにいる。日足、週足ではドル高基調を回復したとみられ、月足の基準線109.96あたりをめざす動きと思われる。これでみるかぎり、アメリカ経済への信認はかなり回復してきたような感じをうける。
19日の日経平均は、11920.86円(431.56円高)と急騰。NYダウの反発を素直に好感している。水準としては、日足の転換線11986の手前まで上げているところだ。その後引き続きダウが上昇し、為替も円安に振れているため、週末にまとまるといわれている不良債権処理機構の構想が期待はずれのものでない限りは、さしあたり週明けは、東京もダウを追いかけて上昇する可能性が高い。しかし処理機構の細部はまだわからないし、他に金融機関破綻の可能性があるかどうかも不透明なので、完全に霧が晴れるかどうかはわからない。上値は重いとも思われる。
アメリカ政府は、リーマンを見捨てた結果、AIGを救済しても市場の動揺をおさめられないことから、なりふりかまわず、不良債権処理の機構を創設する構想を打ち出したのだろう。市場介入をいやがるブッシュを、ポールソンが、金融恐慌の瀬戸際だ、ということで、必死に説得したということらしい。もちろんこれで住宅市場の下落を食い止めることができるわけではないが、少なくとも場当たり的な救済ではなく、多少とも秩序だった救済が行われる見通しがでてきた。だが逆にいえば、ここまでせっぱつまっている、追い込まれているともいえ、金融恐慌につながるような金融機関の破綻が水面下で待ち受けているのかもしれない。東京は引き続き自律性がなく、NYを後追いしているだけなので、東京市場の行く末も、金融危機を回避するポールソンの腕にかかっている。NYも東京もここで底をつけて反発することを期待しつつ、厳しい警戒を怠らずに、というところだろうか。