平成實録 大家地獄變 前日のつづき
「さぁ~て、ココに実印を押下してください。署名捺印さらに日付も入れてください。」
大倒建託の裏桐課長や,
その部下に取り囲まれて、大家三郎は、契約書にサインするのです。2008年、春まだ浅き頃。
なんと言っても、ボクの町に8階建てのマンションは、そのときはまだなかった。
鉄骨の太い柱が立っていく様子を、よく見上げたものだ。
まわりが平屋建ての住宅だものだから、よけいに高く見えた。
その鉄骨の上を、とび職人さんたちが、すーいすーい歩いてゆく。
まだ立ちもしなひうちから、大家三郎さんは、車を豪勢な3ナンバーワンボックスカーに乗り換えるのでした。
あぁ!うらやましな…いや違う。ボクんちも一棟ビルを持ってるから、気分は複雑。
建てればよい、これはあり得ない。店子が必要なんだよね。
大倒建託は、いはゆるサプライサイダー、セイの法則におちいってるんぢゃなひか。供給する側が、価値を決めるといふ。
どんなに大きい豪勢なワンルームマンションを建てたとしても、そこに人が入ってくれるかどうか別問題。
といふやふな事を思ったりもしたところ、ヘンテコリンな事が起こりだした。
まず、この大家三郎さんのマンションの竣工とともに、米国サブプライムローンの破綻が始まった。
9月になると工事が止まった。リーマンショック。
その年の末まで、工事が止まってしまった。
ん?だひたひが大家三郎さんは、だふやって4億円もの融資を受けたんだ?
そりゃ地主だし、借家も5~6件持ってるし、駐車場も広い。
しかし、とてもとても、4億円の保証には、なるまひ。
生命保険?大家三郎さんの歳で?支払保険料は、年に数千万円?
この、ふぁいなんしゃる・ぷらんなー(資格だけ)の、ほんまそうかいめには、解けませぬ。 つづく