東レは、かゆみ改善薬「レミッチ」の特許を侵害したとして、後発薬メーカーの沢井製薬と扶桑薬品工業を東京地裁に提訴したそうです。
有効成分「ナルフラフィン」を使った特許(用途特許)を侵害していると主張し、13日に2社に販売の差し止めを求めたそうです。
裁判の結果次第では画期的な新薬を開発する先発薬メーカーのインセンティブが失われたり、後発薬の販売に影響が出る可能性があるようです。
東レは、特許期間の20年が満了する2017年に、さらに同特許が効力を持つよう延長登録を出願したそうです。
延長登録とは、最長5年にわたって特許の効力期間を引き延ばせる制度とのことです。
医薬業界は特許が認められても、実際の薬を開発するまでには、臨床試験などで数年間の開発期間が必要なケースも多く、そのため、延長登録を認め、東レなど先発薬メーカーの利益を確保する狙いがあるそうです。
ただ今回、東レが問題視したのは、最長5年間の延長登録を申請中の今年、沢井製薬と扶桑薬品工業の2社が後発薬の販売に踏み切ったことで、両社は2月に厚生労働省からナルフラフィンを有効成分にするかゆみ改善薬の製造承認を取得し、6月に発売したそうです。
2社の後発薬に押され、東レが開発した「ナルフラフィン」を有効成分に、鳥居薬品が2009年に発売したかゆみ改善薬「レミッチ」の売上高は7~9月期に前年同期比で3割近く減ったそうです。
東レのヘルスケア事業では収益源の一つになっているだけに影響は少なくなく、提訴に踏み切ったようです。
問題が複雑なのは、東レの主張するケース(用途特許の延長)で、過去に判例がまだないようです。
一方、製剤特許と呼ばれ、用途特許よりもやや限定的な特許の範囲では、特許の延長後でも、後発薬の販売が認められた判例があるそうです。
後発薬は医薬品の特許期間が切れた後に別のメーカーが同じ有効成分で製造・販売するもので、価格を抑えて患者の負担を減らす効果があり、近年、日本でも普及が進む一方、創薬に多額の開発費を投じた先発薬メーカーが最近、後発薬メーカーを訴える例も多く、利害調整は複雑化しているようです。
何年もかけて開発した会社にとっては、ジェネリックの制度はあってほしくないんでしょうね。
3402:799円、4555:6,040円、4538:2,653円、4551:2,600円