アービトラージの実際の取引方法を順に見ていきましょう。
取引を成功させるためのポイントも紹介しています。
アービトラージ取引方法 基本編
まずは簡単に、アービトラージの方法を説明します。
(実際の取引では、こちら側から見て「買う」ということは、相手側にとっては「売る」ことになるという点に注意しましょう)
外貨両替でドルにもユーロにも「売り」と「買い」があるように、仮想通貨にも「売値」と「買値」があります。
一番高く売る(売値) - 一番安く買う(買値) > 0(=利ざや)
という構図ですので、分解すると、手順は次のようになります。
① 一番安く買える取引所を見つける
② 一番高く売れる取引所を見つける
③ ①の取引所でビットコインを買う
④ ①の取引所から②の取引所に送る
⑤ ②の取引所で売る
[例]
A取引所 売値 1BTC = 50万0000円 買値 1BTC = 50万1000円
B取引所 売値 1BTC = 50万4000円 買値 1BTC = 50万5000円
上記の例では、B取引所で売り、A取引所で買うのが最も利益が大きい取引となります。
1BTCにつき 売値50万4000円 – 買値50万1000円 = 3000円
となり、1BTCにつき3000円の利ざやを得ることになります。
ここから手数料を引いたのが実際の利益です。
アービトラージ取引方法 応用編
基本の方法でアービトラージを行うことはできるのですが、現実には、入出金や注文確定に時間がかかり、取引にタイムラグが生じてしまいます。
入出金には1〜2時間かかり、売買の注文は約定に失敗することすらあります。
場合によっては、このタイムラグのために価格が変動してしまい、アービトラージの致命的な失敗につながりかねません。
このため、実際には次のような取引方法が一般的です。
先の例と同じ条件でビットコインの売買をすることを前提とします。
その上で、まず両取引所間で価格差がない状態のときにB取引所で1BTC購入していたと仮定します。
つまり、1BTC=50万2500円 です。
その後、先ほどの価格差が生じます。ただし、今回はB取引所にすでに1BTC保有していますので送金の手間はかかりません。
価格差が生じた時点で同時に売買を行います。B取引所で1BTC売り、A取引所で1BTC買うのです。
すると、この時点でB取引所での取引の差額1500円が利益となります。
次に、時間が経って価格差がなくなったところで(1BTC=50万2500円)、A取引所で保有している1BTCを売却したとします。
ここでもまた1500円の利益が得られます。
結果、トータル3000円の利ざやが得られます。
[例] 保有コイン(購入時) 同時売買 保有コイン(売却時) 差額
A取引所 0BTC(=0円) 買値1BTC = 50万1000円 1BTC(=50万2500円) +1500円
B取引所 1BTC(=50万2500円) 売値1BTC = 50万4000円 0BTC(=0円) +1500円
こうした原理を理解した上で、実際には
「価格差が広がった場面で同時売買し、価格差が縮まった場面でそれぞれ反対の売買をする」
という取引をくり返して利益を積み上げていくのです。
この方法を使えば、仮想通貨を長期保有しながら、短期売買で利ざやを稼いでいくことができます。
アービトラージ成功のポイント
アービトラージを効率的に行うためには、いかに取引所間の価格差が最大限に広がる瞬間をとらえ、素早く取引きを完成させられるかがカギとなります。
①情報収集力をつける
仮にあなたが何のツールももっていなかったとしたら、あちこちの取引所の価格をいちいち見くらべて、「差が開いてるなー」というときを見計らって売買する、といった方法をとることになるでしょう。
昼夜問わず価格をチェックし続け、数千円、数百円の誤差のために、手数料を支払い売買を行って・・・。
一方で、価格差を自動でチェックしてくれるシステムがあり、設定値以上の価格差となったときにアラートを出してくれる装置があったとしたら、どうでしょうか。
かなり効率化が図れますね。
ツールには、リアルタイムに取引所間の価格差を閲覧できるマトリックスや、アービトラージを自動化するソフトウェアといったものがあります。
②事前の準備を怠らない
利用できる取引所の数が多いほど、取引できる機会は広がります。
できるだけ多くの取引所に登録しましょう。
取引所によって登録のしやすさや、本人確認の手続き、手数料などに違いがあります。
特に手数料は毎回の取引の利益に直結しますので、どの手順にどれだけ手数料がかかるのか、正確に把握するようにしてください。
登録が済んだら、各取引所に仮想通貨の購入資金を入金しておきます。
③海外の取引所を利用する
取引に慣れてきたら、海外の取引所を活用することをおすすめします。利用できる取引所の数は、取引できるチャンスの数です。
海外の取引所は何十種類という仮想通貨を扱っていますので、アービトラージのチャンスが大きく広がります。