■来週の東京株式市場で日経平均株価は神経質な動きとなりそうだ。日銀が30─31日の金融政策決定会合で政策を微調整するかどうかに市場の関心が集まっている。実際に微調整した場合、一時的に円高・株安に振れるリスクが意識されている。週後半は決算発表を受けた個別物色が主体となる見通しだ。
日経平均の予想レンジは2万2200─2万3000円。(ロイターより抜粋)
■【来週の見通し】 堅調か。7月30~31日の日銀金融政策決定会合が大きな注目を集める。日銀が政策を見直すとの観測から今週は金融株や225採用銘柄に動意が見られており、政策変更なしでも発表後の動きは荒くなる可能性がある。ただ、事前に観測が流れたことで織り込みも進んでいること、日銀も市場には相当配慮すると想定されること、決算発表集中期で地合いも良好であることなどから、下に振れることがあったとしても一時的で、むしろ上に大きく振れる可能性の方が高いとみる。(Traders webより抜粋)
■貿易戦争の問題に目を移すと、トランプ米大統領とEU(欧州連合)のユンケル欧州委員長の会談をきっかけに米欧の通商摩擦の懸念が後退した。楽観ムードが広がれば、日本の輸出セクターにとっても追い風となる。
アノマリー(説明のつかない法則)では、8月を起点とする日経平均のパフォーマンスは短期・中期ともに良好だ。この点を踏まえても、買い場は継続している。
今週もう一つの注目点が、日本と米国の通商関係だ。ライトハイザー米通商代表は26日に行われた議会上院の公聴会で、日本が米国産牛肉の輸入に不公正な障壁を設けているとして市場開放を求める意向を示した。日本の茂木経済再生担当大臣との間で、協議を開始するという。
新たな貿易戦争の火種という警戒要因の側面がある一方、日米2国間FTA(自由貿易協定)への道が開かれれば、農機や飼料、食品商社、外食などのセクターにとっては買い材料となる可能性もある。
今週の日経平均の想定レンジは2万2400~2万3000円。(SBI証券より抜粋)
■ 来週(7月30日-8月3日)の東京株式市場は、30-31日開催の日銀金融政策決定会合が最大の焦点になる。今週は、「日銀が長期金利の誘導目標の柔軟化を検討」「上場投資信託(ETF)の購入配分の見直しを検討」などの報道が思惑を誘った。前者は、長期金利の上昇を呼び、利ザヤ改善期待から銀行株が軒並み買われた。後者は、TOPIX(東証株価指数)連動型ETFなどを増やし、日経平均株価連動型ETFの購入額を減らす方向で議論するとされ、日銀が大量保有し、日経平均寄与度が高いファストリテなどが売られた。
今回の決定会合で、日銀がマイナス金利を解除したり、ETFの買い入れ枠(年間6兆円)の減額などに動けば、さらなるインパクトをもたらすことになるが、多くの市場関係者は大胆な方針変更に踏み切るとは考えていない。「来週の日銀決定会合までは金融緩和策の一部修正思惑を引きずるだろうが、具体的なものは出ないとみられ、通過後は出尽くしになろう」(準大手証券)との見方が出ている。(モーニングスター社より抜粋)
■≪市場関係者の見方≫
・三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之シニアストラテジスト
「底堅い展開を見込む。最大の注目点は企業決算。為替が企業想定より円安方向にあることから第1四半期は悪くはないだろう。通期計画に対する進ちょく率が高ければ安心感が出る。ただ、貿易問題から企業は強気のコメントを出しにくい上、まだ上方修正も少ないとみられ、力強く買うことにはならない。通商問題の状況次第で相場全体が下に振れる可能性が残り、レンジ相場を超えるのは難しい。日銀会合は金融緩和の副作用を考慮しなければならないなどのコメントが出そうだが、仮に長期金利の誘導目標を10ベーシス引き上げたとしても緩和の大枠は続くため、反応があっても一時的だろう」
・JPモルガン・アセット・マネジメントの前川将吾グローバル・マーケット・ストラテジスト
「堅調となりそうだ。為替のドル高・円安で日本企業の4-6月期決算は増益や高進捗(しんちょく)が見込まれ、中長期の投資資金流入が日本株を押し上げる。米国ではISM製造業景況指数や雇用統計で景気好調が確認されそう。企業の業績も良好で、S&P500種の19年増益率予想は6月末の9.9%から足元で10.2%に上昇、好材料だ。米国がEUに対し自動車輸入の制限を設けなかったため、日米の新通商協議(FFR)でも摩擦が回避される見通し。日本はエネルギーや防衛関連で輸入拡大の余地がある。一方、米景気の過熱には警戒が必要。雇用逼迫(ひっぱく)が賃金上昇などを通じてインフレ懸念を高める可能性があり、米長期金利が3%を超えると株高を抑制する」
・富国生命保険の山田一郎・執行役員有価証券部長
「企業決算が株価を下押す材料にはならないため、日銀会合を無事通過すれば、TOPIXが1800水準まで上昇する可能性がある。日銀会合では政策変更はなく、イールドカーブ・コントロールへの直接的な言及はないだろうが、金融機関に対する副作用の議論は出そう。米欧貿易戦争の懸念が後退し、為替市場は基本的にリスクオンの状態。日銀会合後に債券市場が落ち着けば、為替は円安に振れ、株高の公算が大きい。米国中心に景気は良好なため4-6月期決算はネガティブではないが、サプライズは出にくい」
(ブルームバーグより抜粋)