「食欲がなく、痩せてきた気がする」
こういう高齢者が身近にいたら、危険信号だ。
このときに、やたら甘いものをほしがっていないか、
観察が必要と思われる。
食欲がないと、炭水化物を十分に摂取できず、
エネルギーを生み出すために自身の筋肉を破壊して、
エネルギーを取り出そうとする。
したがって、どんどん痩せていく。
糖尿病でもないのに甘いものをほしがるということは、
炭水化物が不足しているという体からのメッセージなのだろう。
言い換えれば、とっとと炭水化物を取らないと、
筋肉がなくなって歩けなくなるということに他ならない。
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父親は肝臓ガンで他界した。
化学療法も手術も拒否した。
その後の経過は、近藤誠医師の言うとおりで、
思いのほか長く生きることができ、
幸い痛みもまったくなく、大往生したといってよかった。
しかし、最後の2ヶ月間ほどのあいだに、
突然、食欲がなくなって介護施設
(母が介護疲れで胃潰瘍入院となったため、入所していた)
から病院へ入院となった。
その後は、急速に衰えていき、息が途絶えた。
食えなくなったら、ガンがあろうとなかろうと、
高齢者は2ヶ月程度で簡単に死んでしまう。
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食えなくなってきた高齢者がいたら、誰かが与えなくてはいけない。
炭水化物とタンパク質を、バランス良く与えなくてはダメなのだ。
この防波堤を破られてしまうと、要介護状態になってしまう。
ピンピンころりか、老衰が一番イイ。