[ワシントン 6日 ロイター(要約)]
米労働省が6日発表した6月の雇用統計は、景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数が前月比21万3000人増と、市場予想の19万5000人増を上回った。
こうしたなか、賃金の伸びは安定的で、緩やかな物価上昇が見込まれることから
FRBは段階的な金利引き上げを継続するものとみられる。
失業率は18年ぶりの低水準である3.8%から4.0%へ上昇した。上昇は10カ月ぶり。
底堅い労働市場を背景に、より多くの人が職を探し始めたことが要因となった。
市場予想は3.8%だった。
4月と5月の就業者数は当初発表から3万7000人分上方改定された。
労働人口の伸びに対応するためには月に約12万人増える必要があるとされている。
6月雇用の主な内訳は、建設業が1万3000人増(5月は2万9000人増加)
製造業は3万6000人増と半年ぶりの大幅な伸び(5月は1万9000人増加)
小売業は2万1600人減(5月は2万5100人増加)
一方、1時間当たりの賃金は前月から5セント(0.2%)の上昇と
5月(0.3%)から伸びはやや鈍化したが、前年同月比では2.7%の伸びとなった。
FRBが物価の目安とするコア個人消費支出(PCE)価格指数は5月に2.0%上昇し
6年ぶりにFRBの物価目標である2%に到達した。
5日に公表された6月のFOMC議事要旨では、FRBの経済に対する前向きな評価が明らかになり、年内にあと2回利上げする見通しが示された。
また、第2四半期のGDP予想は年率で4%超と
第1四半期(2.0%増)の倍以上のペースだが
トランプ米大統領の「米国第一主義」政策によって米国は主要な貿易相手国と
今にも貿易戦争に突入する勢いで、労働市場や経済に影を落とす。
エコノミストらは、報復関税の応酬で雇用や資本投資のペースが落ち
製造業が被害を受けるとみている。
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米中貿易摩擦の激化が懸念される中、ドル円は110円台半ばを維持しており
市場は世界的な貿易戦争に発展しないだろうと判断していることが窺えます。
但し、トランプ大統領は2週間以内に160億ドル相当の中国製品に対して
追加関税を課す用意があると明言しており(実際は「発動し得る」という表現)
発動されれば市場の不安は高まり、円高に振れるのではないかと予想しています。
因みに「発動し得る」という表現は「しない可能性」もあることを含んでおり
あくまでも中国の出方次第という条件付きだと思います。
<昨夜のNY市場トピックス>
〇3指数共に上昇(3指数共にテクニカル面で買いサインが点灯)
〇米中貿易戦争第一幕は織り込み済みとの認識
〇雇用統計が事前予想を上回ったことが好感された
〇5月貿易収支は-430億5300万ドルとなり6.6%減少(1年7か月ぶりの低水準)
〇バイオジェンの株価が急騰(+19.6%)
エーザイと共同開発中のアルツハイマー治療薬が
中期臨床試験に於いて良好な結果が得られたことを市場が好感
〇市場は、自動車及び自動車部品に対し25%の関税を掛けるという
トランプ政権の方針が一歩後退したと判断(株価反発の主要因)
<関連情報>
GM は商務省に対し、法外な関税は我々の競争力を損い
投資や雇用の減少、賃金の引き下げに繋がる可能性があるとの意見書を提出。
また、米自動車工業会も25%の関税措置は
年間450 億ドル(約5 兆円)の消費者負担増になるとの試算をまとめた。
さらに7/4の英紙フィナンシャル・タイムズは
自動車関税について、EU が米国との交渉入りを検討していると報じ
ドイツのハンデルスブラット紙も、トランプ大統領に近いグレネル駐ドイツ米大使が
7/4 に米国とEU 間の自動車関税を、互いにゼロにする提案をしたと報じています。
トランプ政権による25%の自動車関税案が撤廃されるかどうかは分かりませんが
米国内の自動車メーカーやEUが撤廃に向けて動き出しており
これ以上貿易戦争を激化させないためにも、何とか中止に追い込んで欲しいものです。