批判をすることが目的ではないので、本のタイトルは伏せますが
投資なんてすんじゃないって旨の本があります。
この本には基本的には、銀行員や郵便局員、保険の勧誘に騙されて
手数料の高い金融商品を買うなってことが書かれています。
これらの主張はもっともで納得できます。
ただ、積み立てによるドルコスト平均法を批判している点は、
ちょっと同意できませんでした。
その本の主張を要約すると、
・手数料を毎月(そして保有すれば年会費も)払うのでコストがかかる
・安い時に買って、値上がりしたら売るのが投資のはず。
それなのに安かろうが高かろうが毎月決まった日に買うのはおかしい。
の二点です。
まず一つ目のコストについて。
これは、ドルコスト平均法であっても単発の売買であっても、コストは同じだけかかるはずです。
もしかしたら、積み立ての場合だけ高いコストをとる販売会社があるかもしれません。
しかしそれは少数で、同額か積み立てのほうが手数料を下げている会社の方が多い様です。
もっとも、コストが高いのがいやなら、
ノーロードのファンドや信託報酬が低いインデックスファンドを選べば良いだけの話。
(無論、純金積み立てはちょっとコスト高な気もしますが、
現物を保管するコストがかかるので仕方ない面もあります。
どうしても安くしたい場合は、三菱UFJの純金ファンドや、
現物貴金属のETFを定期的に買うという手もあります。)
コストがかかるのはドルコスト平均法のせいではなく、投資対象で高コストのものがあるというだけの話。
これは論点をすり替えてように感じます。
二つ目の安い時に買うべきで、毎月買うのはおかしいという主張について。
投資をしている人なら分かると思いますが、「安い時」っていつでしょうか?
安いときと高いときがわかれば、だれでもその時に売買してみんな金持ちになっているはずです。
(そうなればむしろ、安いときに売る人がいなくなって、取引が成立しなくなる気もしますが)
そして、有名な投資の格言に「もうはまだなり、まだはもうなり。」という言葉があるとおり、
もうそろそろ底だ…と思っても、実はまだまだ下がり続けた、なんてことはよくあります。(その逆もしかりです)
また、ドルコスト平均法よりも、高いときは手を出さず、当初買ったときよりも安くなったら買い増す、
ナンピン買いの方が良いとかかれていますが、これも同意できません。
これまた有名な格言に、「下手なナンピン、スカンピン」というものがあります。
もちろん、上手くナンピン買いをやれば成果は出ますが、
間違った投資対象を選んでしまうと損失が広がるばかりの苦しい状況に追い込まれます。
投資初心者向けに書かれた本のようですが、初心者に進めるにはちょっとリスクが高い方法です。
さらに言えば、『安くなったら買い増そう』と思っていたが、
値が下がらずにどんどん上昇して『あの時もっと買っておけば…』と悔しい思いをした人はいるのではないでしょうか。
この場合は、安い時に買い増すという投資方法は通用しません。
無論、ドルコスト平均法は完璧な投資方法ではありません。
選んだ投資対象が積み立て中、下降トレンドだと無残な結果になります。
先程述べた下手なナンピンに陥ってしまうのです。
ドルコスト平均法は上昇トレンドのものや、
上げ下げする状況で買う場合に良い効果が得られる方法です。
なので、無理のない範囲で投資対象とコストを吟味すれば、
有効な投資手法の一つと言えるでしょう。
繰り返しになりますが、全体としては良いことを書いています。
なので部分的には同意できませんが、それ以外では良い本と言えます。