注目の米国2月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比31万3000人増と市場予想を大幅に上回った。それを受けての先週9日のダウ工業株30種平均は、440ドル高の2万5335ドル、ナスダックも132ポイント高の7560ポイントと大幅続伸した。
ナスダックは今回の世界的な波乱を克服し、1月26日以来約1カ月半ぶりに史上最高値を更新した。雇用統計発表で一連の重要イベントが終了。波乱になりやすいとされる「メジャーSQ」(先物とオプション双方の特別清算指数)算出日も通過しており、日経平均株価(9日現在2万1469円)はダブルボトム(2月14日と3月5日の2点底)の完成を目指すことになりそうだ。
もちろん、そのためには2月27日の戻り高値2万2502円(取引時間中)を抜ける必要がある。だが、長期の動向を見るうえで市場関係者が重要視している200 日移動平均線を割れたのは、わずか1日だけだ。しかも、今後の株価のトレンドを示すと言われる移動平均線の「向き」は、上方向(上向き)を維持している。
このように長期のトレンドが崩れていないのだから、「戻り高値抜け」は時間の問題ということになる。需給面では、外国人投資家の売りが、最近の売り越し金額の多さから言っても、日柄(日数)から言っても、そろそろ終わるころだ。個人投資家(現物ベース)は4年ぶりとなる6週連続の買い越しだが、証券会社の現場の話を総合すると、こちらの買いは始まったばかりで、需給面でも上値を狙えそうだ。
ここへ来て、米国と北朝鮮の首脳会談が現実味を帯びるなど、北朝鮮問題が進展を見せている。だが、やはりそれらの材料を織り込むドル円相場のレベルが、今後の日本株の株価水準のカギを握りそうだ。年末年始にはドル円に関係なく株高となっていたが、今回の急落で逆に連動性が出てしまった。これはファンド筋の「懐事情」だろう。
何時の世でも、買いづらい時に買った者だけが相場の勝者になっている。ここはじっくり個別に中小型株を選別していく時だ。市場は良い時もあれば、悪い時もあるが、中小型株がいいという理由は、ファンドや外国人売りが少ないことと、なんと言っても経済環境の大きな変化を織り込みつつあるからだ。
今までは大企業が業界を牛耳り、利益も独占してきたが、「IoT社会」になってそれが出来なくなり、中小型株が利益を上げられる時代になった。進化する日本が目指す「ソサエテイ5.0社会」(内閣府)は、中小型株が活躍(出世)する時代だと思っている。
また、大型株が多い日経平均の予想1株益(EPS)も、1702円と1700円台に乗せて来た。PER(株価収益率)15倍で2万5500円前後、16倍で2万7200円前後の水準だ。今年の高値目標をこの辺に置いても罰は当たらないと思う。日本の投資家が株価評価にPERを使い始めてから50年ほど経つが、まだ色あせてはいない。