コインチェック社への金融庁「討ち入り」

やまもといちろう氏オフィシャルブログ
コインチェック社への金融庁「討ち入り」からの会社更生法申請か破産申立への道のり

2018/2/2 09:47







 コインチェック社への金融庁立ち入り検査の決行は、2月13日に控えた報告書期日を待たずに事実上の「討ち入り」となりまして、何ともお疲れ様です。

コインチェックに立ち入り検査へ 金融庁 財務内容を調査 | NHKニュース   https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180202/k10011312381000.html

 ギリギリのタイミングでコインチェック社の被害弁護団が立ち上がって、もしもお困りの方がいれば弁護士を立てるかこちらの被害弁護団に早々に相談されるのが良いと思います。

コインチェック被害対策弁護団
http://www.ccbengo.jp

 いずれにせよ、仮想通貨バブルの終焉を告げるコインチェック社も最終局面を迎えるのではないかと警戒感が高まっているところです。

コインチェック社問題を理解するうえで知っておきたい経済事案あれこれ(追記あり)(山本一郎) - Y!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20180202-00081158/

「罪に問えない」インサイダー取引が横行する仮想通貨界隈で問われる投資家保護の在り方 | プレタポルテ by 夜間飛行
http://pret.yakan-hiko.com/2018/02/01/yamamoto_180201/ 

 個人的には、やはり顧客口座と会社の運転資金がきちんと分別管理されていなかったことで、預け入れをした顧客資産が運転資金や広告宣伝費に充当され、大幅に毀損したことが問題だったんじゃないかと思います。確かにNEM/XEM流出はあったにせよ、580億円程度の損失の補てんを巡り、数兆円に上るかもしれない顧客の預かり資産が毀損する可能性があるというのは実にマズい状況になり得ます。投資家・消費者に対する被害が拡大するだけでなく、他の相場にも影響して仮想通貨市場が大幅に下落してしまうトリガーになる危険性さえもあるからです。

 だからこそ、コインチェック社には早々に金融庁が入って顧客資産を勝手に逃避させたり他に流用させないようにすることが肝要です。さすがに、兆単位の預かり資産を全部溶かしてしまったということはないでしょうし。

 ただ、ここで経営陣が申し開きの余地がないと判断するようであれば、破産申立や、会社更生法の申請を即日行う可能性もあり得ます。何しろ、時間が経過するほど相場が溶解して大幅下落していくわけですから、破綻を時間かけて検討する必要がないわけです。

 恐らくは、コインチェック社の経営陣はまだまだ仮想通貨バブルは続くと見込んで、3月末に期限の来るみなし業者の失効までに身売り先も含めてさまざまな健闘は重ねてきていたのだと思います。だからこそ、一刻も早く金融庁に入ってもらい、なるだけ早く業務停止命令をかけて顧客資産を少しでも保全できるようにするのが良いでしょうし、冷温停止したコインチェック社も保身のために早々に倒産しようとするでしょうから、その辺の駆け引きは週末をまたがずにだいたいの様相が見えることになると思います。

 問題は、トリガーになったNEM/XEMは本当に不正に流出したのかという点です。かねてから、仮想通貨界隈では中華系ファンドがシンガポールやマレーシアなどに分散して一大勢力になっていることもあり、まあ大変微妙な情報も乱舞しているようです。昨今、米先物委員会が召喚したテザー社(Tether)の件もありますし、兌換してXEM/NEMだけではなく大量のイーサリアムやLISKに流入してきた経緯もあるなかで、日本国内法での解決がむつかしかったときに、投資家の被害がもっと大きくなっていく可能性は否定できません。

 なんにせよ、破綻はあり得る状況になったいま、これを教訓として資金決済法ではなく、きちんと金商法の対象として、インサイダー規制やノミ行為の最良執行方針の義務付け、投資家保護のための預かり口座分散などはがっつり規制強化の方向にならざるを得ません。一獲千金の夢は潰えて市場はまた低迷するかもしれないけど、本来のフィンテックというのは投機の対象ではなかったはずなので、これが良かったとなる日も来るのでしょうか。

 寒い一日になりそうですが、今日も生き抜きましょう。
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