1月26日の12時16分に3LSK、35分に1LSK、37分には100LSK――。これは、ある特定のアドレス(仮想通貨の保管場所)に送金された仮想通貨「リスク」の取引記録だ。送り主はなんと、コインチェックのメインウォレットだ。
記録は続く。コインチェックのメインウォレットに、アドレスからわずかながら差し戻されるなどした後の12時47分から、急に送金規模が大きくなる。47分に1万LSK、51分に2万LSK、52分に1000万LSK、54分に4180万LSKと、どんどん大規模になり、少し間が空いて翌27日の14時39分の3149LSKを最後に途絶えている。
LSKとは2016年に稼働された仮想通貨リスクの単位で、1LSKは2629.572円(1月26日12時時点)。つまり、コインチェックのメインウォレットからこのアドレスに送られた送金の合計額は、日本円に換算して373億円に相当するのだ。
仮想通貨の取引が記録されているサイトで確認しても、このアドレスは26日以前には存在しないばかりか、ほぼコインチェックからの送金の受け取りのみにしか使われていない。しかも、コインチェックがツイッターで発表した直後から、仮想通貨の売買や出金が停止されるまでの時間帯に、多額の送金が集中している。
アドレスの持ち主は匿名化されているため、特定することはできない。だが、「あまりに不自然な送金で、事情を知っていた人物が行ったものではないか」(事情に詳しい関係者)と勘ぐられても仕方がないだろう。