とてつもなく抽象的で、
そのままでは何を言っているのか理解できず、
その概念を解説してくれる仲介者が必要なことがほとんどだ。
そんな具合なので、
現代に生きている世界中の哲学者と見なされている
哲人たちの考えを知ることは、
ずいぶんと難しいものになると思われる。
哲学を専門としている人にしか、
その概要がわからない。
普通の人には、手の届かない世界。
ところが、そうした概念を覆す画期的な書籍を発見した。
★「いま世界の哲学者が考えていること」
岡本裕一朗著 ダイヤモンド社 2016.9.8.第1刷 2017.1.24.第6刷
著者は現代哲学の概要に熟知し、
それをいくつか具体的なテーマに分類し、
なおかつ具体的に理解できるよう、
哲人たちの考え方を説明してくれている。
分類されたテーマは、
ほぼ誰にとってもオモロイものとなっており、
具体的な記述のおかげで理解するのに抵抗がない。
過去哲学に関するシンプルでスマートな概論のあと、
IT・人工知能、バイオテクノロジー、資本主義、宗教、環境問題
を考える際に与している哲学者、ならびに彼らの著作も紹介している。
具体的な記述でオモロかったのが、
宗教に関するところにある、
ミシェル・ウェルベック「服従」に絡めた部分。
そして驚いたのは、
やはり宗教に関する考察で、
現代は宗教が廃れるどころか、
むしろ流行を見せているという観察。
著者はこの観察を、「世界の再魔術化」と呼んでいる。
宗教に関する部分は、
ひょっとしたら挑戦するかもしれない小説観に、
生かせる可能性がある。
書きようによっては、オモロクなると思いたい。